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元五輪ランナーが日本の子供の足を速くする スプリント指導のプロ集団「0.01」とは

「自分たちの指導の質は高い」―伊藤氏が言い切る理由とは?

「今までやってきたプログラムも日々勉強してブラッシュアップさせていく。そのために指導の実績を積みながら、研究論文などと照らし合わせ、我々がやっている指導は正しいのかと常に当てはめて見ていく。現状、トップアスリートは自分がやってきたことだけを感覚的にやろうとすることが多い。このことには大きな価値がありますが、これだけでは足りないとも感じます。反対にデータ・研究だけに頼っても実際の感覚とかけ離れた練習をしてしまい動きが崩れる場合もあります。我々は感覚と研究の二つをすり合わせて実際の指導に落とし込んでやっていきたい」

 最後に、なぜ「自分たちの指導の質は高い」と言い切れるのか。その理由を明かした。

「僕らは1対1の指導をかなり長くやっている。僕は子供向けの個別の家庭教師みたいなもの。そうなると、1回で効果を出してくれと親御さんから迫られる。秋本はプロのアスリートに1対1でやる機会が多い。どちらも短期的に成果が出る状態にしないと顧客がつかない。そんな厳しい条件の中で2人とも指導を重ねてきたので、どういうポイントと言葉がけで“処方箋”を出せば良くなるかというノウハウがたまっていっているんです」

 現役時代に0.01秒を削るために培ってきたトップスプリンターとしての経験、そして、引退後に「指導のプロ」として現役時代と同様に結果を出すことにこだわってきた経験。その2つを武器として、運動が苦手な子供からトップアスリートまで、メソッドを注ぎ込んでいく。

「これまでの指導の現場において、たとえトップアスリートが指導しても、一般の方も『どう良くなった』『何かが変化した』ということが感じづらい状況にあった。そういう部分を変えられると思った。指導を提供する側も受ける側も、走りを通して、喜んだり、感動したり、自信獲得につながったり……。そういうところを目指したい」

 ランニングを通して感動を――。指導のプロフェッショナル集団が、大きな希望を宿したプロジェクトは、号砲が鳴ったばかりだ。

【伊藤友広プロフィール】

高校時代に国体少年男子A400mにて優勝。アジアジュニア選手権の日本代表に選出され400m5位、4×400mリレーではアンカーを務め優勝。国体成年男子400mにて優勝。
アテネ五輪では4×400mに出場。第3走者として日本過去最高順位の4位入賞に貢献。
国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)を取得。
http://001sprint.com/

【秋本真吾プロフィール】

2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。オリンピック強化指定選手にも選出。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生最高記録保持者。
2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ所属選手、アメリカンフットボール、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。
地元、福島県「大熊町」のために被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。
2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。
http://001sprint.com/


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