「1回転しか跳べないけど、大丈夫?」 反響に戸惑いも…寺本明日香さん、大人スケートで再び芽生えた感情

フィギュアスケートを通じて思い出せた「技ができるようになるっていう楽しさ」
寺本さんは12年ロンドン、16年リオと体操で五輪2大会に出場した29歳。好きだった海外フィギュア選手は14年ソチ五輪団体金メダルのユリア・リプニツカヤさん。中京大の同級生・大庭雅や坂本、三原舞依ら親交のあるトップスケーターも多く、現地に足を運ぶフィギュア好きとして知られる。
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スケーターになりたての頃は「小鹿状態」。至学館大の助教で、体操競技部女子監督という本業の合間に週1回ほどのペースで氷に乗ってきた。できる技が増えたり、上達を感じる瞬間が嬉しい。「趣味」を通じて、忘れかけていた感情も再び芽生えた。
「体操も始めた頃は楽しくて、いろんな技がやりたくて、こういう技を発表したいって気持ちがあって始めたのに、いつしか『怖い』っていう気持ちだったりとか『やらないといけない』みたいな強制的な気持ちが多くなっていたんです。
スケートを趣味で始めて、今すっごい楽しくて。リンクに行ける回数は選手並みには全然なくて、週に1回行けない日もあるんですけど、いろんな技ができるようになるっていう楽しさが体操に似ているなと。体操も本当はそういう気持ちだったんだなって、改めて思い出させてくれた競技です」

自身の冠大会「寺本明日香カップ」の目的やコンセプトには、今回の大会出場と被る部分がある。高いレベルに達していなくても、演技を披露できる場を作りたい。そんな思いを込めた。
大人スケートの出場者は大会でプログラムを滑ることに喜びを感じ、同じレベル、年齢のスケーターとの交流を心から楽しんでいるような明るい表情が目立った。寺本さんも「発表会とかにも出ていきたい。それが大人スケートの普及に携わる方が頑張ってる事だと思うので、私はそれの対象者っていう感じですね」と前向きな姿勢。技術アップに向けては笑顔で「ちょっとアスリートの血が騒いでる」と表現するなど、挑戦で新たな刺激を得たようだ。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)