井上大仁の凄さを知っているか 「記録より世界」を公言する男の“負けてきた強さ”
思い描く1人の理想像、「五輪で走って勝負したい」というランナーとは
25歳。伸びしろもある。今後、どんなランナーを目指していくのか。井上にとって、1人の理想像があるという。
「言ってしまえば、キプチョゲ選手みたいになりたい。現役の中で唯一、憧れを持つ選手。これほど強く憧れを持った選手は初めてかもしれない。考え方だったり、醸し出している雰囲気だったり、何よりも競技に対してストイック。生活の中で無駄なことを一切していない。理想は五輪で走って勝負できたらと思う」
世界記録保持者のリオデジャネイロ五輪金メダリスト、エリウド・キプチョゲ(ケニア)との激突を夢に掲げる東京五輪。暑さの懸念からレース開始時間が議論の対象になっているが、速さより強さが求められる消耗の激しいレースとなるのは間違いない。
「暑さは体力的な面はもちろん、すごく精神的に削られるレースになるから難しい。そういう暑い中でも集中して走ることは、アジア大会でも証明できたかなと思っている。確実に自分の力を蓄えて、まずは選考会でしっかりと勝ち上がって、東京五輪に出て自分の100%を引き上げていければ」
言葉に派手さはない。その分、内側に秘めたる意志の強さを感じさせる。暑さが覆った東京で、クールなハートで躍動し、メダル獲得へ。ひょっとしたら――。そんな期待が膨らむ男である。
(THE ANSWER編集部)