1万4000人を魅了、羽生結弦の滑りに透けた「準備」と「挑戦」 記者が驚いた「チャンスを掴む」の意味
五輪連覇王者が語った「絶対にチャンスを掴む」に驚き
演出の全てにこだわりを詰め込み、スクリーンに流れる映像もまるで羽生さん主演の映画のようだった。制作総指揮したのがスケーター本人と考えると、どれだけの時間を費やしてきたのかと驚かずにはいられない。
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もう一つ驚いたのが、公演後の取材で見た羽生さんの姿勢。五輪では1952年のディック・バトン氏以来、66年ぶりの連覇を達成。スケート界では誰もが認める伝説を打ち立てた。そんな男がこの日、「自分自身の未来に、それこそ希望を持って、絶対にチャンスを掴むんだっていう気持ちを常に持ちながら、練習もトレーニングも本番も臨みたいなと思います」と口にした。
まるでまだ実績のないアスリートが、これから来るチャンスを窺っているかのような言葉だった。「今という中で最善を尽くしていくこと」とも話したように、今をよりよく生き、挑戦を続けることで未来に繋げていくのが、彼の基本姿勢なのかもしれない。
この日、30歳の誕生日を迎えた。「『30っておっさんじゃん』って思っていた頃とは違った30代を迎えることができたなって、何となく思っています」。まだまだやれる。約14分の囲み取材で、理路整然と熱い思いを語った。
2時間半、アンコールを含めて計15曲を完走。取材後はリンク上でファンに示したように、報道陣にも深々と一礼した。「はぁ、疲れた(笑)。割とね、ヨロヨロしてるんですよ」。緊張から解き放たれた羽生さんの表情は、言葉とは裏腹に晴れやかだった。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)