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100回目のラグビー早明戦で浮かんだ「もしも」 敗軍の将の言葉に感じた歴史と矜持「3点差でPKなら…」

明大メンバーを支配していた「早稲田に勝ちたい」という一途な思い

 だが、こんな合理的な攻める理由より、明大メンバーの頭の中ではるかに大きな面積を支配していたのは、やはり「早稲田に勝ちたい」という一途な思いだろう。そこに在るのは、勝ち点でも得失点差でも順位でもなく、ひたすら勝ちたい、負けたくないという意地と意地の激突であり、別の面からみれば、対戦相手、そして自分たち、この対戦自体が連綿と築き上げてきたプライドやリスペクトが、30人の男たちのアドレナリンを、いつもの試合より数%過剰に分泌していたはずだ。

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 勝者のエースで、すでに日本代表でも経験値を積むFB矢崎由高(2年、桐蔭学園)ですら「明治が強いのは言わなくても分かっていたし、こういう(ワントライで勝者が変わる)展開になることもあらかじめ分かっていた。なので、特に驚きや動揺はなかった」と淡々と語っている。自分たちが48-17で快勝した帝京大に28-48と完敗していても、12月第1日曜に国立のピッチに立つ明治は明治なのだ。

 そんなパッションやフィジカリティー、スキルを全て出し尽くそうとした20歳前後の選手たちが醸し出す何かが観る人たちを惹きつける。今年も12月最初の日曜日の戦いは、変わらぬ矜持を見せてくれた80分間だった。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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