100回目のラグビー早明戦で浮かんだ「もしも」 敗軍の将の言葉に感じた歴史と矜持「3点差でPKなら…」
明大メンバーを支配していた「早稲田に勝ちたい」という一途な思い
だが、こんな合理的な攻める理由より、明大メンバーの頭の中ではるかに大きな面積を支配していたのは、やはり「早稲田に勝ちたい」という一途な思いだろう。そこに在るのは、勝ち点でも得失点差でも順位でもなく、ひたすら勝ちたい、負けたくないという意地と意地の激突であり、別の面からみれば、対戦相手、そして自分たち、この対戦自体が連綿と築き上げてきたプライドやリスペクトが、30人の男たちのアドレナリンを、いつもの試合より数%過剰に分泌していたはずだ。
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勝者のエースで、すでに日本代表でも経験値を積むFB矢崎由高(2年、桐蔭学園)ですら「明治が強いのは言わなくても分かっていたし、こういう(ワントライで勝者が変わる)展開になることもあらかじめ分かっていた。なので、特に驚きや動揺はなかった」と淡々と語っている。自分たちが48-17で快勝した帝京大に28-48と完敗していても、12月第1日曜に国立のピッチに立つ明治は明治なのだ。
そんなパッションやフィジカリティー、スキルを全て出し尽くそうとした20歳前後の選手たちが醸し出す何かが観る人たちを惹きつける。今年も12月最初の日曜日の戦いは、変わらぬ矜持を見せてくれた80分間だった。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)