「守れるはずのお金を守れない」プロ野球選手の大きな“勘違い” 公認会計士試験に合格した元巨人選手が見た問題点
経費は「使った分だけ返ってくる」わけではない
「お金は『使った分だけ返ってくる』と考えてるんじゃないのかなと思ったことはありますね。実際には経費として計上できるだけなのに。経費を作るためにお金を使っているようにさえ見えたこともあります」
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高級車に乗る選手も多いが、これも「経費になるから」だとすればリスクのある行為だという。経費は、あくまで事業のために必要だから認められるもの。その範囲を逸脱するようなら、ぜいたく品として認められないケースもあるのだという。
さらに、池田さんは入団時の契約金などは“絶対使わない”と決めた口座に入金し、日常生活のために使う銀行口座とは分けていた。「よく、プロ野球選手の契約金は一般企業の退職金の前払いなどと言いますが、本当にそう考えていました」。実際にこのお金は、引退後の2年間、働かずに試験勉強に時間を費やそうとしたときに生活の原資となった。
池田さんが引退後の職業として公認会計士をイメージしたのも、プロ入り後に税理士から税金の仕組みについてレクチャーを受けた時に、自分があまりにも税金のことを知らないと気づいたからだった。
「自分が理解するだけではなく、他の選手にもやってあげられたら唯一無二ですよね」。 将来的には選手のお金周りだけでなく、キャリアのサポートまでできないかと考えている。「プロ野球は夢のある世界。ただ選ばれなければ行けない反面、多くの選手が戦力外になるのも現実なんです」。自らは入団時から引退後をイメージし、引退の1年前から公認会計士試験の勉強を始めていた池田さん。お金で困る選手が、少しでも少なくなるようにサポートしていく。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)