坂本花織が紀平&宮原に勝てた理由 「跳ぶから見てろよ」で示した18歳の強心臓
「跳ぶから見てろよ」―大舞台でパーフェクト演技をできる強心臓の賜物
「演技構成点で初めて70点を超えて、ブラッシュアップした成果がちゃんと出たのかな。そこが大きく点数が伸びたので全体的な得点も上がったのかなと思います。ジャンプが良くなかったので、他のエレメンツでカバーするしかないと思ってやりました。
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得点が出たときは計算ミスかな(笑)と一瞬思ったんですけど、150?と思って、そんな10点も一気に上がるとは思わなかったのでただただ、びっくりしました。これまでは(演技中の)視線がジャッジより下でしたが、今日は『跳ぶから見てろよ』という感じでめっちゃジャッジを見て(アピールして)、がっつりノックアウトしました(笑)」
フリーは、技術点でトリプルアクセルを2本成功させた紀平に次ぐ全体2位の79.11点をマークし、演技構成点では国際試合でも高い表現力を誇る宮原に続く全体2位の73.25点を出して152.36点の2位。SPとの合計で228.01点の高得点をたたき出し、総合2位の紀平に5点近くの点差をつけるなどで他を圧倒した。全日本チャンピオンになれたのは、パーフェクト演技が大舞台でも出来る強心臓ぶりを発揮できた賜物だった。
ノーミス演技でSP首位の宮原はフリーで2度のジャンプミスを出し、紀平はミスが許されないSPで得点源のトリプルアクセルで転倒する失敗を見せて5位発進して出遅れたことが大きく響いた。このことからも、例え紀平のように大きな武器を持っていても、SPとフリーでミスなく演技をまとめなければ、勝利を手にすることはできないのだ。
その点から言っても、坂本はミスを最小限に抑える能力を持ち、その上で、武器でもあるスピードと幅のあるダイナミックなジャンプは、出来栄え点(GOE)でプラス評価を得られるだけに、今後、さらに表現力が磨かれれば、力強さのあるトップスケーターになれるに違いない。
(辛 仁夏 / Synn Yinha)