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重圧でニキビだらけに…空手界の顔・植草歩に生じていた異変 競技24年、引退の今確信する「空手が好き」

植草の背後に掲げられた横断幕には感謝の言葉が記されていた【写真:中戸川知世】
植草の背後に掲げられた横断幕には感謝の言葉が記されていた【写真:中戸川知世】

オリンピックレースで体に異変「顔はニキビだらけ」

 世界のトップで戦ってきた植草だが、オリンピックレースで体に異変も生じていた。世界選手権とは全く違った緊張感。「その時の顔はニキビだらけに。今はストレスがないのでニキビがほぼないんですけど」。各国の競技力も上昇する中、知らず知らずのうちにナーバスになっていた。

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 金メダル候補として期待された東京五輪では、まさかの7位。今になってその特別さが身に染みる。

「4年に一度の大会は普通に強いだけでは勝てない、異常なものだと感じました。いろんな大会で優勝しましたけど、五輪のような空気の大会は一度もない。特別な場所だったんだなと思っています」

 負けで終わりにしたくない。そんな思いから現役を続行し、23年には4度目のプレミアリーグ年間王者に輝いた。現役引退を決断したのは今年になってから。1月の大会で、試合前にいつも感じる緊張感も、負けた後の悔しい気持ちも沸き立たなくなった。「競技を続けるのは難しい」。日本代表選考も辞退した。

 最後の試合は7月、フィリピンで行われた国際大会・守礼堂カップ。優勝で締めくくった。9月からは日体大柏高の監督に就任。モデル、メディア出演などにも意欲的だが、第一の目標は指導者として日本一の教え子を生むことだ。

「32歳まで競技を続けて、これからも指導していくということは、きっと空手が好きだからこそ。もっと空手を広める活動にも重きを置いてやっていきたい」。会見を終え、頭を下げる植草を出席者が温かく送り出す。何気ないシーンにも、周囲に愛されるその人柄が透けて見えた。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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