井上尚弥、5階級制覇を視野に入れた62.7kg過去最重量 その地盤は「ゴム人間の孫悟空」の心身
ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は3日、東京・有明アリーナで元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー(アイルランド)との4団体防衛戦で7回0分16秒TKO勝ちした。相手の負傷棄権というまさかの幕切れとなったが、いつも通り何もさせない展開。その地盤には「ゴム人間の孫悟空」という肉体と気概があった。戦績は31歳の井上が28勝(25KO)、37歳のドヘニーが26勝(20KO)5敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
世界スーパーバンタム級4団体防衛戦
ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は3日、東京・有明アリーナで元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー(アイルランド)との4団体防衛戦で7回0分16秒TKO勝ちした。相手の負傷棄権というまさかの幕切れとなったが、いつも通り何もさせない展開。その地盤には「ゴム人間の孫悟空」という肉体と気概があった。戦績は31歳の井上が28勝(25KO)、37歳のドヘニーが26勝(20KO)5敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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誰より、井上こそが不完全燃焼だった。ドヘニーが腰を痛めて棄権するまさかの幕切れ。「理想としていた終わり方ではない。見に来たファンもそうだったと思う」。会場では「えー!」と叫び声が漏れた。
「自分の出来が悪いとは思っていなくて、ドヘニーほどのキャリアのある選手がああいう戦い方をしたら仕方ない。試合運びのうまさがある。相手あってのボクシングだと皆さんわかっている。内容、結果としては満足、期待したような試合ではなかったと思いますが、長く試合をしていればこういう試合もあります。次に期待してもらえれば」
モンスターにしては静かな前半だった。前戦にダウンを喫しただけに初回は手数も少なめ。後ろ重心で消極的な挑戦者を前に出させようと、3、4回はあえてガードを固めた。6回は上下の打ち分けやボディーで攻撃。「これから」と攻勢を強めた7回に強烈な左ボディーなど連打を与えた。しかし、腰を押さえながらノロノロと歩き出すドヘニー。ゆっくりと膝をついてダウンした。
まさかの棄権。相手陣営によると、6回の時点で「腰の神経を痛めた。7回に悪化した」という。井上は「結果としてこうなってしまったのは仕方ない」と無念を滲ませ、相手が前日計量の66.1キロから11キロも増やした影響については「多少感じましたけど、そんなビックリするほどではなかった」と淡々と振り返った。
「これを言ってしまったら来てくださったファンの方々に申し訳ないけど、守備、守備に回る選手とやっても楽しくはなかったですね」
とはいっても、そのまま試合が続けばKOも十分に期待できた状況。米興行大手・トップランク社のCEOを務める92歳の世界的プロモーター、ボブ・アラム氏に「世界のボクシング界の顔」と言わしめるほどの実力を示し、またも相手に勝ち筋を見せなかった。その秘訣の一つが下半身。実際に井上と対峙し、凄さを感じ取った人がいる。