[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

14歳で金メダル、突然の喧騒に「何が面白いの?」 今、10代半ばで活躍する五輪アスリートに「伝えたいのは…」――競泳・岩崎恭子

14歳の金メダリストとなった岩崎さんは今、14歳の娘の母になっている【写真:中戸川知世】
14歳の金メダリストとなった岩崎さんは今、14歳の娘の母になっている【写真:中戸川知世】

14歳の金メダリストは14歳の娘の母に

 帰国してからは大変だった。中学はもちろん大歓迎、あいさつ回りもあった。必ず聞かれるのが、あの名言。意図せぬ周囲の騒動に苦しみ、水泳から離れようとしたこともあったと伝えられた。ただ、32年経った今は少し違った言葉も出てきた。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「昔から人の話、大人の会話を聞くのが好きで、あいさつ回りは嫌じゃなかった。こんな言われ方をするんだとか、こんなになっているんだとか。わりと冷静に聞いていました。それに、私が行くことで喜んでもらえるなら。その後の水泳のためになるんだったら、行くことも悪くない。私にとっては(騒動になったのは)必要な時間だったのかなと。今はそう思っています」

 岩崎さんは大人びた14歳だったのかもしれない。今、その岩崎さんの娘さんも14歳になったという。自分が金メダルを獲得し、大人たちの騒ぎを冷静に見ていた年齢。周囲から見れば、14歳の金メダリストの子どもは、どんな14歳だろうと気にもなるが、本人は笑う。

「比べるものでもないし、比べたこともない。どんな14歳かと言われると、のほほーんとしていますね(笑)。自分が14歳で体験できたことは、やっぱり普通じゃなくて。そういう意味では、自分はラッキーだったと思いますけど」

 超有名人を親に持つと、いい面もあるかもしれないし、嫌な面もあるかもしれない。どんな感情を持つかは、その子の性格によってもバラバラ。だから、岩崎さんは自然体で子どもと接している。

「小さいころから代表選手に会ったりするし、話も聞いている。ママすごいじゃん、と言われることもあるし、ママは金メダル1個だけでしょと言われることもあって(笑)。ただ、いつも言うのは『ママはすごいかもしれないけれど、偉いわけじゃない」ということ。いろいろと言われることもあるかもしれない。今はSNSもあって大変ですから。知らない人の意見は聞かなくていいとは言っています」

 岩崎さんは自然体だ。自身が14歳で金メダルをとり、娘が14歳になった。とはいえ、年齢に関しても自然体。こだわりがないところが、岩崎さんらしい。

「年齢でどうこうではないですよね。人によって成長ぶりは違うし。伸びる時期は違う。子どもの能力は無限大だし、子どもだからとか制限もつけたくないですね」

 スポーツに関しても同様だ。東京五輪ではスケートボードで西矢椛が13歳で金メダルを獲得。岩崎さんの最年少記録を抜いた。今大会も10代半ばの選手が活躍した。多くの競技で選手の競技年齢が上がる中、トップレベルで戦う選手もいる。記録を抜かれて残念な気持ちはあるのだろうか。

「残念なんて気持ち、あるわけないじゃないですか(笑)。そんなこと、まったく思っていない。当たり前ですよ。若いころは、水泳に限らず急に伸びることがある。大学生や社会人では難しいかもしれないけれど、中高生にはありますよね。私は、それがたまたまバルセロナ五輪の時だった。子どもたちに伝えたいのは、必ず伸びる時期、旬があるから、その時に一生懸命やってほしいということです」

1 2 3

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集