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14歳で金メダル、突然の喧騒に「何が面白いの?」 今、10代半ばで活躍する五輪アスリートに「伝えたいのは…」――競泳・岩崎恭子

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

当時14歳でバルセロナ五輪金メダルを獲得した岩崎恭子さん【写真:産経新聞社】
当時14歳でバルセロナ五輪金メダルを獲得した岩崎恭子さん【写真:産経新聞社】

「シン・オリンピックのミカタ」#108 連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」第14回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」。現役アスリートやOB・OG、指導者、学者などが登場し、少子化が進む中で求められるスポーツ普及を考え、それぞれ打ち込んできた競技が教育や人格形成においてもたらすものを語る。第14回は、1992年バルセロナ五輪競泳女子200メートル平泳ぎで優勝した岩崎恭子さん。14歳で手にした金メダルを振り返り、10代選手にとっての五輪舞台、水泳、スポーツの魅力、そして現在14歳の娘との接し方についても語った。(取材・文=荻島 弘一)

 ◇ ◇ ◇

 バルセロナ五輪の競泳チームは若かった。特に女子は平均年齢が過去最年少。最年長選手は19歳で中学2年生が3人いた。競技年齢が上がった今では考えられないが、岩崎さんら中学2年生が3人いて「中2トリオ」とも呼ばれていた。

「当時は年齢層が高くなかったら、特に自分が若いとかは思っていなかったですね。(200メートル平泳ぎ世界記録保持者の)アニタ・ノール(米国)も16歳だったし、世界的にも若かったから、何がそんなにすごいことなのかなあ、って思っていました」

 14歳での大舞台。年長者でも緊張する舞台で、プレッシャーはなかったのか。どんな思いで大会に臨んだのか。

「昔は『大会を楽しむ』とか絶対になかった。それが、少しずつ変わっていった時代でした。ただ、先輩やコーチたちの動向をみていると、いつもと違う気合の入り方。『戦いに行く』というのは14歳でも分かっていました。たぶん、二人(中2の稲田法子と春名美佳)も同じ気持ちは持っていたと思います」

 選考会でも2番手で、持ちタイムでも上位とは差があった14歳の岩崎さんは、レース前にどんな目標を立てたのか。そして、予選を泳いでどんな気持ちになったのか。32年経って、冷静に振り返った。

「決勝に残るのは目標だったけれど、オリンピックで泳ぐのだから出せる力はすべて出そうと。ただ、泳いでみて驚きました。そんなにタイムが伸びると思っていなかった」

 決勝ではさらにタイムを伸ばし、予選1位だった世界記録保持者のノールを逆転して優勝。その後のインタビューでの「今まで生きてきた中で、一番幸せです」と合わせて国民的ヒロインになった。

「日本に帰ってきてからです、騒ぎを知ったのは。何がおもしろいのかなあ、って不思議でしたね。特別なことを言ったわけではないし、ただ思ったことを言っただけなのに。それを面白がっている大人たちが面白いな、と思っていました」

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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