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感動的で、面白かった「五輪ゴルフ」 復活当初は懐疑論も…プロで成熟した競技を五輪で実施する意義

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

パリ五輪で銅メダルを獲得した松山英樹【写真:ロイター】
パリ五輪で銅メダルを獲得した松山英樹【写真:ロイター】

「シン・オリンピックのミカタ」#63 連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第12回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。

 ◇ ◇ ◇

 シェフラーの涙、フリートウッドへの大歓声、そして松山の弾けんばかりの笑顔……。五輪のゴルフがこれほどおもしろく、感動的だとは思わなかった。

 いつものトーナメントとは様子が違った。世界トップレベルの豪華メンバーだが、ウェアは各国おそろいのユニホーム。キャップには五輪マークや国名が入る。コースを取り囲んだギャラリーというか「サポーター」が騒々しいのも五輪ならでは。国旗が降られ、国歌が聞こえる。ゴルフが五輪競技になったことを実感する瞬間だった。

 普通なら優勝だけが目標になるが、五輪の場合はメダルがある。いつもなら悔しいだけの2位にも、フリートウッドは「メダルは夢みたいだ」と喜んだ。3位の松山は東京大会でプレーオフの末メダルを逃しているだけに「メダルをとれたことがうれしい」と話した。

「史上初」や「悲願」という言葉に違和感があるのは、16年リオデジャネイロ大会からの新しい競技だから。正確には1900年パリ大会と1904年セントルイス大会でも行われたが、参加者が少なくてその後は廃止。プロの参加が認められ、112年ぶりに復活したばかりだ。

 もっとも、リオ大会は流行していたジカ熱の影響もあって、松山ら多くのトップ選手が出場を辞退。前回の東京大会も新型コロナ禍で無観客となり、辞退する選手も出て盛り上がりも今ひとつだった。

 もともと「五輪でゴルフってどうなの?」という声はあった。4大メジャーの優勝賞金は5億円にもなるのに、五輪はなし。各国オリンピック委員会や競技団体から出る場合もあるが。ケタが2つ違う。最も問題なのは過密日程。ギリギリの年間スケジュールに加えて五輪では、選手の負担が大きい。酷暑の中でのプレーだからなおさらだ。

 選手たちからも疑問の声はあがっていた。「ゴルフは五輪を必要としない」と言い切る選手もいたし、松山自身も「どうなんだろう」と話したこともある。それでも国を代表して戦い、普段ゴルフを見ない人たちからも応援される喜びは、特別な感情も呼び起こす。4年後のロサンゼルス大会について、松山は「絶対に出たい」と言った。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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