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公文の子供机で学んだ日本語 ブラジル代表を蹴った“砂の日本代表10番”異端の半生

W杯で母国と対戦「日本人になり、W杯に出るという2つの夢が叶った」

 こうなれば、あとはサッカーに邁進するだけ。従来もラモス瑠偉監督の計らいで代表にはコーチとして帯同していたが、すぐに選手として加わることに。当時はW杯タヒチ大会予選の真っ只中だった。

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「ちょうど膝の靱帯が切れて全治6か月の故障をしてしまい、最初は年明けのW杯予選に間に合わないと言われた。でも、W杯予選の1か月前に国籍が出て、試合に出られた。日の丸を着けたことに感動した。タイ代表と対戦して自分が2点を取って勝った。今でも初めての試合は忘れられません」

 そして、見事に予選を勝ち抜き、出場権を獲得した。本大会では快進撃を演じ、決勝トーナメントに進出。敗れこそしたが、母国ブラジルと3-4と互角の戦いを演じ、日本でも話題を呼んだ。

「2つの大きな夢が叶った。日本人になり、W杯に出るという。子供たちによく言うけど、諦めないこと大事と思う。日本人になってW杯まで行けたことに感動した。でも、まだW杯で優勝できてない。その時はベスト8。あと2013年W杯に世界2位の選手になった。日本のビーチサッカーを盛り上げてきたけど、W杯優勝という大きな夢を達成できてないので、練習を頑張っています」

 ビーチサッカーは移籍金がかからない自由な契約形態が通例。オフシーズンの数か月限定はもちろん、週末の大会だけ出場するなんてことも珍しくない。特に、日本では給与も低く、東京ヴェルディビーチサッカーに所属する茂怜羅自身、積極的に欧州に渡ってプレー。実力を磨き、バルセロナでクラブ世界一も経験している。

「今は海外に2か月行くと、すぐにホームシックになって日本に帰りたいくらい日本が好き(笑)。ただ、日本がプロではなく、海外に行かないと稼げないし、何より欧州は強いし、もっとレベルアップしたい。いい結果を残して、日本の皆さんにビーチサッカーのことを知ってもらいたい。まずは日本代表の選手として、W杯で結果を残したいと思います」

 日本のビーチサッカーと未来について思いを語った茂怜羅。実は、所属する東京ヴェルディビーチサッカーで「選手兼監督兼クラブ代表」という肩書を背負っている。現役選手として異端の働きをする真意とは――。

(インタビュー後編に続く)

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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