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記者が心揺さぶられた五輪連覇 堀米雄斗16歳「別にいいです。五輪は」米国しか頭になかった少年の9年後

9年前の言葉を五輪で実行「誰もやっていないヤバいトリックを決めたい」

 ケガや予選での不振、さらに本番でも追い込まれながら「最後まであきらめずに」大逆転の金メダル。「こうなりたい」という明確な目標を立て、それに全力で向かう姿勢は「アメリカで滑りたい」と言った16歳の時と何も変わらない。自身のスケート人生をかけて堀米をサポートしてきた早川コーチとの抱擁に、心を揺さぶられた。

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 ただ、堀米自身はあくまでも「二刀流」を捨てない。「コンテストだけでなく、ストリート(街中でのビデオパート)も大事。両方やっていきたい」と話す。ヒューストンらが自己表現のために入れるタトゥーは「あまり好きじゃないから」というが「音楽も、ファッションも、大切。そのすべてがスケートボードなので」とも話す。

 同い年で仲のいいスノーボードの平野歩夢が、五輪で活躍しながらバックカントリーでのビデオ撮影にも力を入れるのと同じ。五輪もストリートも全力で向き合う。だからこそ、堀米は魅力的だし、日本人はもちろん海外のスケーターたちからもリスペクトされる。

 本場のシーンが日本人スケーターに対してオープンでなかった時代に自らの力で固い扉をこじあけた堀米。9年前の「誰もやっていないヤバいトリックを決めたい」という言葉通りに、最後の1本で圧倒的なトリックを決めて頂点に立った。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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