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「五輪」が世界選手権やW杯と違うこと 球技で熱戦続出、選ばれし者たちが戦い「ギューッと凝縮」

あらゆる「ジャパン」を応援して、その熱をパリへ

 さらに「国を背負う」思いも、世界選手権以上に思う。競技によっても、国によっても差はあるかもしれないが、注目度は高くなるし、応援の声も大きくなる。他の競技から刺激も受けるし、ライバル意識も生まれる。それが、五輪だ。

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 だからこそ、五輪球技には記憶に残るものが多い。年配の方なら64年東京大会の「東洋の魔女」。女子バレーボール決勝のソ連戦は、テレビ視聴率66.8%で、それ以降破られていない。72年ミュンヘン大会の男子バレーボールは準決勝ブルガリア戦の逆転劇は今でも語り草。バレーボールは圧倒的な人気スポーツになった。

 バレーボールだけではない。男子サッカーは68年メキシコシティ大会の銅メダルが伝説だし、96年アトランタ大会ではブラジルを破る「奇跡」を起こした。なでしこジャパンは12年ロンドン大会で前年のW杯の勢いに乗って銀メダルを獲得。08年北京大会ソフトボールの「上野の413球」も感動的だった。

 近いところでは、12年ロンドン大会の女子バレーボールや前回東京大会の女子バスケットボール。感動的なメダル獲得は、その競技の魅力を発信する。「見に行きたい」というファンや「やりたい」という子どもたちも増える。それも「五輪」の大きな力だ。

 球技は「続く」のも特徴。負けて大会が終わる他の競技と違い、すべての球技はリーグ戦→決勝トーナメントだから、特に序盤は負けても「次」がある。08年北京のソフトボールのように、2敗しても金メダルを獲得することができる(戦略でもあったようだが)。

 今大会は球技全7競技で予選を突破するなど、日本にとっては「球技の五輪」。試合時間が長く、何試合もあるから、ボリューム的にも球技の割合が大きくなる。その中で、後世に語り継がれるような「ドラマ」も生まれるはずだ。

「ハンドボール見ちゃったよ。意外とおもしろいな」。サッカー仲間から連絡がきた。「推し」だけでなく、普段はあまり見ない球技を楽しめるのも五輪も魅力。あらゆる「ジャパン」を応援して、その熱をパリに送ろう。それが、「球技大国」日本を牽引する選手たちの力になる。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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