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56歳で正社員を辞して転身「この挑戦は絶対面白い」 副業禁止で…女子ゴルフ桑木志帆に懸けた可能性

女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス(神奈川・戸塚CC西C)は6月30日、桑木志帆(大和ハウス工業)のツアー初優勝で幕を閉じた。昨年大会でのプレーオフ(PO)負けのリベンジに成功。涙した21歳は、両親、応援団、中村修コーチへの感謝を口にした。中村氏は今年1月までは、ゴルフダイジェスト社の正社員だったが、それを辞して桑木の可能性に懸けている。その思いを本人に聞いた。

資生堂レディスで優勝した桑木志帆と並んで笑顔を見せる中村修コーチ(右)と小楠和寿トレーナー(左)【写真:(C)ゴルフダイジェスト】
資生堂レディスで優勝した桑木志帆と並んで笑顔を見せる中村修コーチ(右)と小楠和寿トレーナー(左)【写真:(C)ゴルフダイジェスト】

ゴルフダイジェスト社勤務の中村修氏

 女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス(神奈川・戸塚CC西C)は6月30日、桑木志帆(大和ハウス工業)のツアー初優勝で幕を閉じた。昨年大会でのプレーオフ(PO)負けのリベンジに成功。涙した21歳は、両親、応援団、中村修コーチへの感謝を口にした。中村氏は今年1月までは、ゴルフダイジェスト社の正社員だったが、それを辞して桑木の可能性に懸けている。その思いを本人に聞いた。

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 中村氏は、桑木の優勝を小楠和寿トレーナーと見届けていた。小楠氏はかつて稲見萌寧を担当し、賞金女王獲得に貢献した名トレーナーだ。

「約1年ほど前から、桑木プロのケアとトレーニング指導を担当しています。今季は隔週で試合にも帯同しています。彼女は教えたことがすぐにできる優れた運動神経の持ち主です。大変な可能性を感じます」

 桑木自身も会見で「今年から週の初めにトレーニン グを入れるようになってから、疲れにくくなったのと、体幹が少しずつできてきていいショットが打てるようになりました」と言った。桑木と小楠氏をつないだのは、中村氏だった。

「それまで、彼女はほとんどトレーニングをしたことがなかったんです。ゴルフ自体も基本的には自分で作り上げ、プロテストに一発合格し、最終QT(ツアー予選会)も通過している。そのすごさは取材する中でも感じていました」

 56歳の中村氏は東洋大を卒業し、26歳から本格的にゴルフを始め、2005年、34歳で日本プロゴルフ協会(PGA)にティーチングプロとして入会している。以降、ツアーにも挑戦しながらティーチングを生業にしていたが、14年にゴルフダイジェスト社に正社員として入社。プロの知見を生かしながら、トーナメントなどを取材していた。ここ数年は主に女子ゴルフを担当し、桑木とも取材者として接していた。

「あくまで取材対象の1人でしたが、22年シーズンの伊藤園レディスでドローの曲がり幅が大きいのはインサイドアウト軌道が強すぎるからと伝えました。彼女は翌週の大王製紙エリエールレディスでは予選落ちしてメルセデス・ランキング51位。フルシード権(50位以内)をあと1歩で獲得できず、準シードになりました。その状況下、僕が最終QTの取材で彼女の地元岡山県に行っていたので、お父さまの正利さんやマネジメントの方と一緒に食事をすることになりました。そこで『しっかりと計測をしてもらって、どういうスイングになっているのかを確認した方がいいと思う』と伝えました」

 本人もショットの悩みを抱えていたため、中村氏が広島県にいるインストラクターを紹介。スタジオでスイング動画を解析したところ、桑木が問題点を自覚し、「オフの間にドローの曲がり幅を少なくする」と決断した。そして、中村氏は10日後に送られてきたスイング動画を見て驚いたという。

「ビックリしました。短期間で見事に軌道が修正され、ストレートに近い軌道で打てるようになっていたからです。本人は当初、僕に『上から打つ感覚ですか』と質問をしてきましたが、動画を見て『体の動かし方ではなく、クラブの動きを意識している』と分かり、天性のセンスを感じました」

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