衝撃V5田中希実を慢心させないケニア合宿の衝撃 だから今、思う「限界がわからないから知りたい」
今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第2日が28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われた。女子1500メートル決勝では、24歳の田中希実(New Balance)が4分01秒44で優勝。参加標準記録4分02秒50を突破し、5000メートルに続く2種目めの代表権を掴み取った。夏にピークを合わせる中で叩き出した好記録。闘争本能を呼び起こしたケニア合宿の成果が出る結果となった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
陸上日本選手権
今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第2日が28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われた。女子1500メートル決勝では、24歳の田中希実(New Balance)が4分01秒44で優勝。参加標準記録4分02秒50を突破し、5000メートルに続く2種目めの代表権を掴み取った。夏にピークを合わせる中で叩き出した好記録。闘争本能を呼び起こしたケニア合宿の成果が出る結果となった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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胸を張って笑える1500メートルになった。田中は序盤から後続を突き放すレースを展開。日本人選手はついていけない。ペースメーカーとオープン参加のケニア選手2人と先頭を争った。自身の持つ日本記録更新も狙えるペースで残り250メートルに突入。5連覇を奪い取り、ケニア選手と笑顔で抱き合った。
いつもは見ている側が苦しくなるほど、とにかく自分に厳しい24歳。でも、今回は自力で五輪切符を掴み、表情は和らいだ。
「いつもほどフラストレーションが溜まらない走り。自分の中で一歩を踏み出すための地固めができたのかな。タイムも何か少し不思議な感覚と言いますか、今まで凄く苦しんでいた数年のことを思うと、跳び上がって喜んでもいいぐらいの記録に感じます。
今日はペースメーカーの前に出るぐらいのレースをしたいと思っていたけど、それほどの余裕が自分の中で持てなくて。もっと圧倒的な力がないとタイムが出ないんだなとも思いました。ペースメーカーを抜くくらいの気持ちでいかないと」
素直に喜びつつも、やっぱり自分を戒めるような言葉は忘れない。
21年東京五輪で8位入賞した1500メートルは、五輪準決勝で出した日本記録3分59秒19が自己ベスト。しかし、ピークではない6月に4分01秒台を出せたことが夏の躍進を期待させる。「東京五輪の3分台さえなければ自己ベスト。そこは喜んでいいのかな。3分台までの壁は薄くなったという感覚は掴めたと思う」
圧巻の5連覇。どれだけ大差をつけても慢心しない。そこには中長距離の大国ケニアで過ごした期間が関連している。
ランナーの聖地・イテンで猛者に揉まれ、これまでは練習自体に「挑戦」の意味合いがあった。だが、幾度も足を運ぶにつれて変化。「ケニアが自分の中でホームのようなものに変わってきている」。国内外のレースを転戦し、身につけた実践力、タフさがどう通用するのか確かめる場になってきた。