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新生ラグビー日本代表、原石たちの検証 エディー流にマッチする「超速」の申し子2人の可能性――山沢拓也&コストリー・インタビュー

ラグビー日本代表が新体制で動き出した宮崎合宿。注目選手のインタビュー後編は、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が掲げる「超速ラグビー」にマッチする期待のメンバー2人を中心に、新たな桜の戦士たちを検証する。高校3年生だった11年前にジョーンズHCに練習生として代表に呼ばれたFB山沢拓也(埼玉WK)は、天性の閃きと創造力あふれるステップ、パスで代表定着に挑む。初選出されたNo8ティアナン・コストリー(神戸S)は、BK級のスピードを武器にする新世代のバックロー(FW第3列)として、どこまで指揮官の期待に応えることが出来るか。超速の申し子たちの挑戦と“桜のジャージー”への思いを聞いた。(取材・文=吉田 宏)

宮崎合宿で新体制が動き出した日本代表【写真:JRFU】
宮崎合宿で新体制が動き出した日本代表【写真:JRFU】

エディージャパンのキーマン代表合宿インタビュー後編

 ラグビー日本代表が新体制で動き出した宮崎合宿。注目選手のインタビュー後編は、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が掲げる「超速ラグビー」にマッチする期待のメンバー2人を中心に、新たな桜の戦士たちを検証する。高校3年生だった11年前にジョーンズHCに練習生として代表に呼ばれたFB山沢拓也(埼玉WK)は、天性の閃きと創造力あふれるステップ、パスで代表定着に挑む。初選出されたNo8ティアナン・コストリー(神戸S)は、BK級のスピードを武器にする新世代のバックロー(FW第3列)として、どこまで指揮官の期待に応えることが出来るか。超速の申し子たちの挑戦と“桜のジャージー”への思いを聞いた。(取材・文=吉田 宏)

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 ファン、一部関係者が待望するファンタジスタが、桜のジャージーに戻って来た。

「自分より若い選手がすごく多いですね。でも、代表入りは一言でいえば楽しみという気持ちが大きいです」

 2017年の代表デビューから通算キャップは6。なかなかチームに定着できないシーズンが続く中で、今回の若手、経験者をミックスしたチームで山沢はBK(バックス)最年長グループの29歳だ。深谷高時代から変わらず自分のプレーやチームパフォーマンスに厳しめのコメントが多いが、始動したばかりの第2次エディージャパンには前向きだ。

 誰もが予想しなかった招待状が17歳の高校3年生に届いたのは、2012年のことだった。差出人はエディー・ジョーンズ日本代表HC。深谷高1年から「天才」の呼び名を全国に轟かせていたとはいえ、世界を相手に戦う日本代表への参加は異例のことだったが、指揮官はその奔放でセオリーに捕らわれないフレア(閃き)に、自分の手元で磨き込む価値を感じ取り、練習参加選手という身分で(代表に)呼び寄せた。

 同HCが率いた15年W杯の時は、ひざの怪我で選外。それでも、大学4年でパナソニックワイルドナイツと契約して史上初の大学生トップリーガーになるほど、溢れる才能は異彩を放っていた。国内では多くの関係者が認める存在だったが、16年から代表の指揮を執るジェイミー・ジョセフHCの下では、評価を得られない時間が続いた。

「あまり?み合ってなかったところはありました。ジェイミーが求めていることを自分が出来なかったので、もどかしい部分もありました。コーチがやりたいことを自分が上手くやれなかったのが一番大きかったということです。自分の評価をコーチ陣から聞く中で、23年のW杯へ向けては自分の中でもちょっと難しいなという思いもあった。だから22年に落とされた時は、最終的には納得していました」

 自分自身を納得させた心境を、言葉を選びながら振り返った山沢だが、味方をも欺くような閃きを生かした奔放さと、チームの決め事、ゲームプランを忠実に遂行する選手を求める当時の代表首脳陣の間には考え方の隔たりが大き過ぎた。防御やボール保持力などのストレングスを重視した指揮官にとっては、山沢のフィジカル面での不安定さもマイナス要因だった。山沢タイプの天才肌の選手は、欠点を重視する指導者と、足りないものを度外視しても才能を生かしたいというタイプで評価が大きく分かれる。そして、いつも温厚で謙虚な振る舞いの一方で、自らのスタイルにこだわり、自身のビジョンを持った山沢の秘められた頑固さも、メンバー選考に響いた。

 そんな辛い時間を山沢が過ごす中で、9シーズンぶりに戻って来たジョーンズHCは迷わず閃きを持ったアタッカーをメンバーリストに書き込んだ。

「17歳の頃はSOとして本当にワールドクラスになれるポテンシャルはあったが、怪我や高い期待の中で苦戦していた。でも、昨季はFBとして飛躍したし、FWから最初にボールを受ける役目(SO)もプレーできるので、ジャパンの新しいオプションに役立てることができるだろう」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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