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強化合宿に異例の40社70人取材殺到 高校3冠、飛び級…ハンドボール界に現れた天才・安平光佑は何者か

大勢集まった報道陣の前で活躍を誓う安平光佑【写真:荻島 弘一】
大勢集まった報道陣の前で活躍を誓う安平光佑【写真:荻島 弘一】

テレビやSNSよりも「プレーでメジャーにしたい」 言葉に宿る強烈な自信

 コートを俯瞰でみているかのように自在にパスを操り、自ら切り込んでゴールも狙う。172センチの身長は2メートルが珍しくない世界では小柄だが「小さいことは武器になる」と胸を張る。五輪出場を決めたアジア予選決勝のバーレーン戦では、利き手の右でシュートフェイントをかけながら相手の脇の下をすりぬけて逆手の左でシュートを決めた。そんな異次元のプレーで大柄な相手を翻弄してみせる。

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 23歳ながら圧倒的な実績と経験を持ち、見るものを魅了する安平が目指すのは、ハンドボールの「メジャー化」だ。「日本ではマイナーですけど、欧州ではサッカーと並ぶ人気。パリ五輪で、ハンドボールをもっと知ってほしい」と話した。

 これまでもテレビ番組で人気者になった宮崎大輔や、TikTokで700万人以上のフォロワーを持つ土井レミイ杏利ら「メジャー化」へ奮闘した選手はいる。ともに海外でプレーし、日本代表でも活躍しながらも、認知度アップにはテレビやSNSを利用した。ところが、安平は少し違う。「プレーでメジャーにしたい」。自身のプレーに圧倒的な自信を持つからこその言葉。1月の能登半島地震の際、富山県で最も被害が大きかった故郷の氷見市に向けて「自分のプレーで元気を」と言ってのけた。

 パリ五輪では今年2月に日本代表監督を退任したダグル・シグルドソン氏率いるクロアチアと初戦であたり、ドイツ、スペイン、スロベニア、スウェーデンとベスト8進出を争う。いずれも強豪だが、安平は「目標は2勝」と、過去最高の9位を上回る1次リーグ突破を視野に言った。淡々と話しながらも、言葉には強烈な自信が宿る。

 日本ハンドボールのステージを上げ、代表を五輪に導いた安平は「自分の役割は味方を生かしてゲームをコントロールすること」と話す。かつて「絶対に超えられない壁」と思われていた欧州勢に対しても臆することはない。12日までの合宿を終えた後は、マケドニアリーグ参戦のため欧州に戻る。「五輪は夢だった舞台。全力で取り組む」と大勢集まった報道陣の前で活躍を誓った。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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