創部124年の北大野球部から初のプロ…西武・宮澤太成が夢を叶えた進化論「人間は適応していく」
独立リーグで実績残せず夏に…わずか2か月のアピールでプロへ
目指す姿が決まれば、方法を考えるだけだ。「フィジカルの強化が主でした。徳島で自分の周りにいた投手は、阪神に行った椎葉(=剛、ドラフト2位)とか、身体能力が突出していた。キャッチボールをしていても違うんです」。チームメートの強みを研究し、自分のものにしていった。力をボールに伝え切るため、テークバックを小さくするフォーム改造にも取り組んだ。
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「このままじゃプロに行けないと思ってからは、本当に全部変えました。カットボールやスライダーの投手だったのを捨てて、スプリットとストレートばかり投げるようになりましたし、文字通り背水の陣でした」。読み通り、8月になって周囲の目が変わってきた。そしてスカウトの高評価を勝ち取るきっかけとなったのが9月11日のソフトバンク3軍戦だ。1回を3人でピシャリ。アウトは全て三振で奪った。直球の最速は155キロに達していた。
たった2カ月のアピールが、プロへの道を開いたことになる。「他人と同じことをしていてもスカウトは見に来てくれない。なんか違うことしていれば『おっ』となるじゃないですか。まずわかりやすい特徴ですよね。時間がなかったので特に」。選手が活動内容を決めていく北大野球部で、うまくなろうともがいたのも生きた。「自由の中でうまくなるのって本当に難しい。サボろうと思えばいくらでもサボれます。でもその中で、自分は仮説を立てて検証する能力を高められました」。自分が動かないと始まらない独立リーグ。必要な能力は共通していた。
夢見たNPBの世界にたどり着いても、驚きばかりだという。「みんな野球がうまいなと思います。本当に技術が高い。ただボールにキレがあるとかの先を行っているんです」。オープン戦では1軍登板も果たした。その先に行く方法もまた、きっちり言葉にして説明してくれた。
「何を評価されて、ライオンズが獲ってくれたのかというところですね。何かが通用すると見てくれたから指名された。僕の場合はそれがストレートであり、スプリット。まずそこをレベルアップさせることが一つ頭にあります。あとは、プロの中継ぎに求められるものを考えることですかね。ワインドアップで投げる場面は中継ぎには少ない。常にクイックで投げられるようにするとか、技術を高めないといけないと思います」
宮澤が身をもって示してきた進化論が正しければ、西武の強力投手陣の中でさらに能力が磨かれるはず。戦力として1軍にやってくる日を、楽しみに待ちたい。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)