「コートで好かれたいとは思わない」 48点差衝撃Vに導いたバスケ小僧・富樫勇樹の厳しさと情熱【天皇杯】
バスケットボール男子の天皇杯全日本選手権は16日、さいたまスーパーアリーナで決勝が行われ、昨年王者の千葉ジェッツが琉球ゴールデンキングスに117-69の圧勝で2連覇を達成した。昨年決勝と同カードで中心に立ったのは主将PG富樫勇樹。子どものように楽しむ気持ちと厳しさを併せ持つ30歳は20得点、9アシストと奮闘し、2019年の3連覇以来となるV2で通算5度目の日本一に導いた。観衆は1万5385人。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
バスケットボール天皇杯決勝
バスケットボール男子の天皇杯全日本選手権は16日、さいたまスーパーアリーナで決勝が行われ、昨年王者の千葉ジェッツが琉球ゴールデンキングスに117-69の圧勝で2連覇を達成した。昨年決勝と同カードで中心に立ったのは主将PG富樫勇樹。子どものように楽しむ気持ちと厳しさを併せ持つ30歳は20得点、9アシストと奮闘し、2019年の3連覇以来となるV2で通算5度目の日本一に導いた。観衆は1万5385人。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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頼もしい主将の背中は大きかった。身長167センチの富樫は、第1クォーター(Q)残り46秒の3ポイント(P)でこの日初得点。圧倒的スピードで千葉にエンジンを掛け、得点機を演出し続けた。自身は9本中6本の3Pを含む20得点、9アシスト、1スティール。「本当に最高。全員が自分の仕事をした結果」。美しい放物線に客席は息をのみ、ネットを揺らすたびに沸騰した。
乗せられた仲間は守備でも奮闘。フィジカルを武器とする琉球に立ち向かい、リズムをつくった。「攻撃に目がいきがちだけど、守備の勝利」。チーム3P成功率は56.8%(37本中21本成功)で48点差の衝撃V。MVPに選ばれた主将は「チームでスクリーンを掛けて打ったシュート。全員で点数を重ねられたことが素晴らしかった」と全員バスケを強調した。23.1%(26本中6本成功)の相手とは対照的だった。
日本人初の1億円選手として注目を浴び、バスケ界を牽引した富樫も30歳。「全ての経験で今の自分ができている」。得点できなければ、試合に出さないと突きつけられた若手時代。昨年Bリーグファイナルで琉球に敗れた悔しさ。全てを成長に変え、10日には東アジアスーパーリーグで日本クラブ初の優勝を成し遂げた。
快挙からわずか6日後の過密日程で迎えた天皇杯決勝。日本代表の活動だってある。「プロとしてコートに立つ責任を持っているけど、心のどこかで楽しんでいる。小学生が公園に行く時のような気持ち」。ボールを体育館の床につき、ネットを揺らす音はいくつになっても心地いい。そんなバスケ小僧は幼き日の気持ちを忘れない。