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阪神2軍で起きていた「走り革命」 若虎はいかに「163盗塁」の新記録を生んだのか

10月6日に行われたプロ野球のファーム日本選手権。阪神が巨人を8-4で破り、12年ぶり5度目のファーム日本一を飾った。躍進を見せた若虎が今季、プロ野球界である新記録を樹立したことは、あまり知られていない。それは、ウエスタンリーグのシーズン最多盗塁だ。その数、実に163。1試合に平均1.4個を記録したことになる。いったい、若虎はいかにして走りまくったのか。チームの重要なキーマンとなったのが、元陸上選手で400メートル障害を専門としていた秋本真吾氏だ。

球界でも珍しい「スプリントコーチ」として阪神を指導してきた秋本真吾氏【写真:mika】
球界でも珍しい「スプリントコーチ」として阪神を指導してきた秋本真吾氏【写真:mika】

若虎の足を変えたプロスプリントコーチ・秋本真吾氏が明かす「163盗塁」の舞台裏とは

 10月6日に行われたプロ野球のファーム日本選手権。阪神が巨人を8-4で破り、12年ぶり5度目のファーム日本一を飾った。躍進を見せた若虎が今季、プロ野球界である新記録を樹立したことは、あまり知られていない。それは、ウエスタンリーグのシーズン最多盗塁だ。その数、実に163。1試合に平均1.4個を記録したことになる。

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 いったい、若虎はいかにして走りまくったのか。チームの重要なキーマンとなったのが、元陸上選手で400メートル障害を専門としていた秋本真吾氏だ。スプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を主催する元トップスプリンターは、16年シーズン終了後の秋季キャンプから球界でも珍しい「スプリントコーチ」として阪神を指導してきた。

 昨年は1、2軍を兼務し、正しい走りのフォームを習得させた成果もあり、投手、野手を含め、ランニングにまつわる故障がゼロ。福留、鳥谷といったベテラン選手も体に負担が少ないと驚いたほどの変化を生み出し、今季は2軍に専念して“改革”に尽力してきた。目に見える記録を打ち立てたことについて、素直に喜びを語る。

「あれだけ盗塁の数を“重ねられたこと”が凄く大きかったです。当然、盗塁数が多い選手は1軍に呼ばれ、枠が空いてしまう。そういう状況がありながら、それ以外の選手たちが積極的に走って盗塁を重ねることができました。それは、チームの層の厚さにつながっているんじゃないでしょうか」

 就任2年目。当初から在籍している選手には理解を深めてもらい、新人選手は座学から入る。正しい姿勢、接地など、基礎的なことから指導していく。今季は秋、春とキャンプに足を運び、以降は2か月に1回のペースで指導。期間が空くことで難しさは常について回ったという。

「こまめに指導ができれば、新しい課題にどんどんチャレンジできるのですが、2か月に1回では安定した技術習得をこまめに図っていくしかありません。何か違ったことを取り入れるより確実にそのトレーニングをできるように、という意識付けの期間と捉えていました。2か月空けば、元に戻っている選手も多いので、もう一回ここを大事にしましょうと良い形に戻す、という繰り返し。単発指導の怖さは一時的には変えられるけど、続けないと身につかないこと。必然的に回数が多くなれば、定着する可能性も高くなってきます」

 そういった中でも選手たちの成長は確実に感じていた。

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