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ABEMAとDAZNがなぜタッグ? トップ2人が語る狙いと真相、相乗効果で「スポーツを知るきっかけに」

役割が明確化したABEMAとDAZNでシナジーを生み出したいと語る笹本氏【写真:松橋晶子】
役割が明確化したABEMAとDAZNでシナジーを生み出したいと語る笹本氏【写真:松橋晶子】

今後は“ストーリー”を知るドキュメンタリーをABEMAで制作も?

――今回のリリースでも大きな反応があったのがサッカーファンという印象です。お二人はコンテンツとしてのサッカーをどうご覧になっていますか?

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藤田「毎週末、自分の馬が走る競馬とサッカーの試合の時間が重なってしまうんですが、サッカーが勝っちゃうんですよね(笑)。(試合に)勝った時の喜びや、負けた時の悔しみ、怒り。サッカーはちょっと違う。人を狂わせるものがある。世界的にそうではないでしょうか」

笹本「古くは戦争を回避するためにサッカーの試合で国同士が戦うなんてこともあったわけですし」

藤田「そうですよね。国の代表として戦っているから、俺たちの地元が負けるなんて、という熱量が高い」

笹本「凄い熱量ですよね。どこまでDAZNができるか分かりませんが、今はJ1、J2、J3の中継をやらせていただき、Jリーグさんは裾野を広げ、サッカー人口とファンを広げながら、地域に根づかせる役割を果たされている中で、大げさな言い方をすると日本の地方創生も含めて、サッカーの持つ力や意味はもっとあると思うんです。でも、まずは見ていただかないと、そこに入っていかない。そういう意味で、DAZNでも『Freemium』という無料サービスは始めましたが、ABEMAでも無料でも見ていただく方が多ければ多いほど、意義は深いと思っています」

藤田「我々はライトユーザーのエントリー、最初のゲートになればいいので、まずはこの試合が無料で見られることをライト層に訴えかけたいですね」

笹本「まさにそうですね。『ABEMA、無料で見させてくれてありがとう!』という方々が多くいることが結果的にはDAZNにとっても良いことなので、そこに凄くシナジーが生まれる。お互いの役割が明確化されているし、その先はもっと技術を進化させる、またはジャンルを増やしていくなど、取り組み方は広がっていくと思いますね」

藤田「各競技におけるストーリーを知るようなドキュメンタリーやドラマを作ることもABEMAの中でもできますからね。F1もNetflixが作ったドキュメンタリー(2019年から配信されているNetflixオリジナル人気シリーズ『栄光のグランプリ』)でブレイクしていったので。ああいうことは我々にもできるんじゃないかなと」

笹本「それは、是非期待しています。私がシンガポールにいた時、知人の周りで女性のF1ファンが増えたらしいんです。そのドキュメンタリーで、選手一人一人のストーリーに感情移入して、いつの間にかF1のレースそのものを見に行きたくなった。日本でそれを作ろうとすると、やっぱりABEMAさんのような企業じゃないとできない」

藤田「サッカーは海外だとビッグクラブから街クラブまでドキュメンタリーがある。それをJリーグで我々が作ることもできますしね、まずはゼルビアから(笑)」

笹本「いいですね。是非、代表の苦悩も描いてもらって(笑)」

――今、ドキュメンタリー制作という話もありましたが、今後実現させたい構想やアイデアはありますか?

笹本「本当に今すぐできることと、将来できたらというものがあります。今すぐで言うと、DAZN内にFanZoneというファンが集まってチャットをしながら試合を見られる機能があるのですが、こういうものは是非ABEMAさんとご一緒する中でやらせていただきたいです。試合の見方は多様化した方がいいと思っているので、その先には、AIでどういうシーンを切り取るか判断し、それをリアルタイムに出していくなど、新しい技術を導入してABEMAさんと一緒に新しい視聴体験ができたらいいですね」

藤田「スポーツテックは本当にこれから有望な分野ですよね。ABEMAの将棋チャンネルでも『SHOGI AI powered by ABEMA(以下SHOGI AI)』と呼ばれるAIを導入していて、対局におけるその時の勝勢が60%と40%という形で表示をしている。『SHOGI AI』を導入してから一気に視聴体験が良くなっています。『SHOGI AI』においても藤井聡太さんが勝っていたら(優勢だったら)、AIの予測した勝勢通りに進むことが多いんです、毎回ではないですが。藤井さんはミスが少ない。そういうのが技術で可視化できるところも新しい視聴体験につながっていると思います。」

笹本「スポーツによって違いますね、見え方、見せ方が。それもまた面白いところですね」

(後編へ続く)

■藤田 晋 / Susumu Fujita

 1973年5月16日生まれ。大学卒業後、人材派遣会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)を経て、1998年にサイバーエージェントを創業し、代表取締役に就任。2000年に26歳で同社の東証マザーズ上場を当時史上最年少で果たした。「ABEMA」は2016年に開局し、代表取締役に。スポーツ領域では2018年に当時J2だったFC町田ゼルビアの代表取締役社長兼CEOに就任。子会社のCygamesが開発したゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のヒットを受け、2021年から馬主活動も始めた。

■笹本 裕 / Yu Sasamoto

 1964年9月4日生まれ。大学卒業後の1988年に人材大手リクルートに入社。2002年にエム・ティー・ヴィー・ジャパン代表取締役社長兼CEOに就任した。以降は2007年からマイクロソフト常務執行役員、2009年から同社常務執行役員、2014年からTwitter Japan代表取締役などを歴任。今年2月5日にDAZN Japan最高経営責任者(CEO)兼アジア事業開発に就任した。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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