ABEMAとDAZNがなぜタッグ? トップ2人が語る狙いと真相、相乗効果で「スポーツを知るきっかけに」
新しい未来のテレビ「ABEMA」を手掛けるサイバーエージェント社長・藤田晋氏と、スポーツチャンネル「DAZN」を運営するDAZN JAPANのCEO・笹本裕氏の対談が「THE ANSWER」で実現した。2月にABEMAでDAZNのコンテンツを視聴できる新プラン「ABEMA de DAZN」を発表したばかりの両社。前編では、このサービスが誕生した背景から、ユーザーや両社にもたらされるメリットまで語った。(聞き手=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
ABEMA/サイバーエージェント・藤田晋氏とDAZN JAPAN・笹本裕氏がTHE ANSWERで対談
新しい未来のテレビ「ABEMA」を手掛けるサイバーエージェント社長・藤田晋氏と、スポーツチャンネル「DAZN」を運営するDAZN JAPANのCEO・笹本裕氏の対談が「THE ANSWER」で実現した。2月にABEMAでDAZNのコンテンツを視聴できる新プラン「ABEMA de DAZN」を発表したばかりの両社。前編では、このサービスが誕生した背景から、ユーザーや両社にもたらされるメリットまで語った。(聞き手=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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革新的なサービスで業界の第一線を走り続ける「ABEMA」と「DAZN」がタッグを組む。2月16日に発表されたリリースが反響を呼んだ。
「ABEMA de DAZN」と銘打たれた新プランの発表。月額4200円、年額3万2000円(ともに税込)で、DAZNが配信しているサッカー明治安田Jリーグ全試合、AFC主催の日本代表戦、スペイン・イタリア・フランス・ポルトガルなど、国内外の世界最高峰リーグを「ABEMA de DAZN」で生中継し、試合ごとのハイライトも視聴できる。J1リーグ毎節注目の2試合無料に加え、海外の日本人選手所属チームの毎節2試合は無料で視聴可能。さらに、F1世界選手権の全レースも生中継する。
ネット上に「これは凄い」「ABEMAでJ1が見られるの?」「日本サッカーの希望」の声が寄せられるなど、驚きが広がった発表から4日後。20日、東京・渋谷区のサイバーエージェント本社「Abema Towers」で藤田氏と笹本氏がおよそ1時間にわたり対談した。
創業したサイバーエージェントを超大手に成長させた経営手腕は言うまでもなく、サッカーJ1町田ゼルビアの代表取締役社長兼CEOも務め、スポーツ界にも精通している藤田氏。とりわけ「ABEMA」でサッカーの2022年FIFA ワールドカップ カタール(以下、カタールW杯)を全64試合生中継し、世間を驚かせたことも記憶に新しい。一方で、マイクロソフト常務執行役員、Twitter Japan社長などをIT大手の経営に携わり、参入以来、日本の有料放送に革命を起こしているDAZN JapanのCEOに2月5日付で就任した笹本氏。
「ABEMA」と「DAZN」を率いる2人が語る、今回のサービスの狙いとスポーツ視聴の未来とは――。
――お二人はもともとビジネスで接点があったとお聞きしています。お互いの印象はいかがでしたか?
笹本「一番深い接点は僕がTwitter社に在籍していた時ですね。いろいろとお仕事をご一緒させていただき、特に広告事業ではサイバーエージェントさんに大変お世話になりました。藤田さんのことを僕が語るのは恐れ多いですが、インターネットの黎明期に立ち上げた時から、凄い勢いでいろんなものをどんどん追い抜いていった。『凄いな』という一言しかない。ABEMAさんへのベットの仕方は藤田さんしかできないだろうなと、尊敬の目で見ておりました」
藤田「僕しかベットできない部分は、確かにあるかもしれません(笑)。他人から見ると無謀かもしれないことをやってきたかもしれません。笹本さんもX(旧Twitter)はもちろん、DAZNも簡単な会社ではない、難しいところに飛び込んでいかれるなと思っていました」
――両社のサービスにはどんな印象を持たれていましたか?
笹本「メディアなどのコンテンツのビジネスは一つのエコシステムがあると思うんです。ABEMAさんはこのエコシステムを壊すというより、刷新する存在なのかなと思っていますね。当初のテレビ朝日との取り組み方や、ABEMAニュースの出し方、我々の今の近いところではカタールW杯もそう。そういう領域で存在を作ってこられたので、進化していくべきエコシステムにABEMAさんが先陣を切っていることが、印象としては強いですね」
藤田「世界的にもABEMAは独特な視聴モデルかもしれません。動画配信のコンテンツは他社の動画サービスと直接競合しないように作ってきた。テレビのいい部分をネットにリプレイスしながら作っているんです。逆に僕から見たDAZNさんは、いかに(スポーツの)放映権が高いかを知っているので、なんて気前の良いサービスなんだと思っています。昔、別の有料放送を契約した時は、いくつもチャンネルを重複して契約しなきゃいけなくて、月に何万円も払っていましたから」
笹本「長年作られたコンテンツビジネスの構造にABEMAさんも一石を投じているし、DAZNもより多くのスポーツファンに見られやすい環境を作っていくことが、ライツホルダーの皆さんにもプラスになると思っています。特にDAZNはグローバル展開をしているので、日本のスポーツのファンをもっと世界に広げていけたらと思いますね」
藤田「もちろん、僕もJリーグはDAZNで見ています。ゼルビアが勝ったらもう1回復習で見ていますね。負けたら見ないですけど(笑)。非常にシンプルなサービス。レイアウトもシンプルだし、価格体系もシンプルだし、だから凄く分かりやすいですよ」
笹本「僕はW杯の時は、ABEMAさんもなんて気前の良いサービスなんだと思っていました。本来は日本戦が見られない環境だったので。日本戦も含めて熱狂させてもらったので、ABEMAさんがなければ、どんなつまらない何週間だったのか。ABEMAニュースは常に見ていたので、そういう意味では他のソーシャルの動画配信のサービスとは一線を画したものとして使っています」