21点差大逆転、富樫勇樹とMr.ジェッツが背中で導いた決勝への道 敵将も脱帽「褒めないといけない」
両軍指揮官がたたえたもう1人のベテラン
もう1人、両軍の指揮官が名前を挙げてたたえたのが西村だった。第4Q残り4分13秒には、ファウル4つだった比江島慎のオフェンスチャージを誘発し、相手のエースをファウルアウトに。72-72の同点で迎えたタイムアウト明けの同残り1分41秒には、富樫からのパスを受け、勝負を決める3Pを沈めた。20分間の出場で8得点1アシスト2リバウンド。会場から沸き上がった「文男! 文男!」コールが、数字以上の貢献度を物語っていた。
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「(最後の3Pは)いいパスくれたので決めなきゃという気持ちと、決めたらちゃんと今日のSNSには僕の動画が載るんだろうなという気持ちで打ちました。決めたので『よし、載ったな』と。ちゃんとMr.ジェッツと書いてくれるかなと思いながら喜んでいます」
報道陣の笑いを誘ったベテラン。「最後に勇樹のパスでビッグショットは決められたが、1試合通してゲームを引っ張ってくれたのは勇樹なので」。一緒に会見の席に並んだ富樫をたたえながら、「真面目な話だが、勇樹だけじゃなく、他の選手たちがもっと自分が自分が、と出てくるようになればより良くなるかなと思う」と若手に注文もつけた。
30歳の富樫も「まだまだ若手の活躍は最近見られていないので、もうちょっと頑張ってほしいと思う。金近(廉)も(小川)麻斗も今日素晴らしい仕事をしてくれたというのも間違いないが、彼らの力を見ているので、もっとできるという期待がある。勝たせられるチームの選手になってほしい」と実力を認めているからこそ、厳しい言葉を投げかけた。
負けたら終わりの天皇杯。千葉で4度優勝を経験している西村は「大事な試合での経験や勝ち方は僕らも知っているつもり。そういう時の戦い方を背中で見せるのは大事。僕みたいなベテランが体張って頑張っているところでチームの士気は上がると思う」と責任感を口にする。2年連続5度目の天皇杯制覇へ。千葉のベテラン2人が、言葉と背中でチームを引っ張っていく。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)