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「長距離×競歩」で狙う世界の頂点 東洋大監督夫妻、五輪メダリスト育成に生きる箱根駅伝の経験

世界大会にも同行、競歩の指導は「長距離以上に難しい」

 競歩、長距離、短距離など、どのような動きで速く進むことができるのか――。酒井監督はそうした探究心を、指導者になる前から持ち合わせていたと言える。

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 2018年以降、競歩の指導は正コーチに就任した瑞穂が中心に行い、川野将虎は世界陸上で2年連続、池田向希(ともに現・旭化成)は東京五輪と世界陸上でメダリストとなったが、酒井監督も現場に足を運び、進化する世界の動向から多くのことを吸収している。

「競歩の指導は、長距離以上に難しい。ちょっとした声がけでも、すぐに歩型が変わってしまうからです。その点、私が指導していた時は相談相手として妻の存在は大きかったですし、競歩の指導で学んだことは、長距離の指導に還元している部分はあります」

 夫婦で取り組む長距離と競歩の指導は、学生たちにとって「世界」への道標となっている。(文中敬称略)

■酒井俊幸(さかい・としゆき)

 1976年5月23日生まれ、福島県出身。学法石川高(福島)2年時に全国高校駅伝に出場。東洋大学時代は1年時から3年時まで箱根駅伝に出走し、2年時はシード権獲得に貢献。4年時は出走できなかったが、主将としてチームを引っ張った。卒業後はコニカミノルタに入社し、全日本実業団駅伝では2001年からの3連覇の中心選手として活躍を見せた。現役を引退し、2005年4月から母校である学法石川高の教諭に。2009年4月から母校・東洋大学陸上競技部(長距離)の監督となり、以来、箱根駅伝では総合優勝3回を含む10年連続総合3位以内の成績を残したのをはじめ、次回大会まで監督就任以来16年連続出場を継続中。学生三大駅伝の出雲駅伝(2011年)、全日本大学駅伝(2015年)でも大学史上初の優勝を飾っている。2017年まで指導していた競歩選手、長距離の卒業生を含め、五輪や世界陸上の日本代表選手を輩出している。

■酒井瑞穂(さかい・みずほ)

 福島県出身。旧姓・佐藤。福島西女高(現・福島西高)時代に国体3000メートル競歩で6位入賞、日本女子体育大学では日本学生選手権5000メートル競歩で2年連続入賞を果たしている。大学卒業後は福島県で公立高校の教員となり、国体の福島県チームの強化スタッフを務めるなど、高校生選手の育成にあたり、教え子のなかには東洋大に進学した2003年パリ世界選手権20キロ競歩に出場した松崎彰徳がいる。2003年に結婚後も仕事を続けていたが、2009年に俊幸が東洋大学監督に就任すると、教員職を辞し、家族で埼玉へ。東洋大学では監督補佐の立場で、主に選手たちの日常生活の指導を担当。2018年からは競歩コーチの肩書きも加わると、東京五輪銀メダルの池田向希と世界陸上2大会連続メダル獲得の川野将虎(ともに現・旭化成)を指導し、現在まで指導者として国際大会でメダル8個を獲得している。

(牧野 豊 / Yutaka Makino)

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牧野 豊

1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「NBA新世紀」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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