「ええー!トルシエ、監督なん。ええー!」 日本船出の夜、缶ビールを握った久保竜彦に走った衝撃
編集部に響いた「んあー!」
「こういう(格下の)相手には、1点決めるまでよな。決めたら相手も『こうやりたい』『こうやりたい』って選手が(意図が)ぶつかり始めるから」
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その貴重な先制点を、前半11分に南野がもたらす。左CKの流れからこぼれ球に反応。「んあー!」。パン、パンと手を2度叩いて喜んだ。
しかし、ここからまさかの2失点で逆転を許す。
よもやの打ち合いに、最近ガラケーからまた新しく替えたガラケーの着信音が鳴ってもテレビ画面から目を離さない。早々に2缶目に手をつけ、ナッツをせわしなく口に運びながら、つぶやく。「今のベトナムサポーター、めっちゃ可愛いやん」
45分に2度目の「んあー!」が響く。南野が同点弾。「股か! 股の股か! 上手かったな」。遠藤からのアシスト、南野のシュートが続けて相手の股を抜き、思わず唸った。直後に中村が強烈ミドルで逆転弾。「んあー! よう、この角度から決めるな」
ハーフタイムにDAZNで映った小野伸二に「シンジ、めっちゃメガネやん」とツッコミ、始まった後半は停滞ムード。時々鳴るガラケーにも目が向き始める。「ちょっと前にぶっ壊れたんよ。携帯なくてもええかなと思ったけどね。どーにかなるやろ、手紙とかでも」
3-2のまま残り10分。業を煮やして、3缶目のエビス350mlを開けると、流れが変わった。
直後の82分。途中出場の堂安、久保らがつないで、最後はまた途中出場の上田が右足一閃。「(リズムが)『タン! タン! パーン!』やったね。(シュートの)振り、速かったもんな」。日本は、とにもかくにも勝ち点3を手にした。
画面には、森保監督とトルシエ監督が熱く健闘を称え合う様子が映し出される。
「うわ。めっちゃ(手を)握っとる。でもトルシエがやってベトナム、強くなっとんな」
そして、試合後に実施したインタビュー。
一人だけ違いを感じたという日本の選手、トルシエが進化させたベトナムサッカー、今大会で覚醒を期待したいストライカーまで。まもなく長女に第1子が生まれ、47歳のおじいちゃんになるドラゴンは深夜になっても、饒舌に、情熱を込めて分析した。
時計の針はてっぺん近く。ほんのり赤くなった顔はすっかり上機嫌。
「勝ったけえ、良かったよね。(今後の戦いが)楽になって。また次も、ここで観ようや」
そう言い残し、夜の中目黒に消えていった。
なお、インタビュー記事は近く配信する。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)