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元野球部も戦った花園初の合同チーム 英断の裏で…15人必要な高校ラグビーの部員不足という深刻な病根

敦賀工・浜野主将の言葉に感じた「英断」と「決断」の成果

 繰り返しになるが、合同チームの最大の恩恵は、部員が15人に満たないことを理由に花園の都道府県予選にすら出場できなかった、つまりラグビーが出来なかった子供たちが、プレーできることだ。たとえ1回戦で敗退しても、試合が出来ずにシーズンを、高校3年間を終えるのに比べれば天と地ほどの差があるのは明らかだ。

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 高校生の部員不足をテーマに取材している側でも、救われたという思いになったのは、囲み取材の最後の敦賀工・浜野主将の言葉だった。

「花園に行けないという可能性もあった中で、合同チームで一緒にしていただいたのは有り難い気持ちがたくさんあります。負けてしまったけれど、全員が一つになってプレー出来た。野球は1対1の勝負で自分の実力ばかりですけれど、ラグビーはチームの繋がりでパワーが出ると思う。そこがラグビーのいいところです。花園は緊張するなと思いましたが、これまで出なかったパワーが出せたなと思いました。学校が違う選手と、新しい仲間が増えたというところがよかったなと思います。諦めずにやってきて花園にも出られた。いろいろな合同チームもありますけれど、諦めずに頑張ってほしいです」

 卒業後は大阪の専門学校に進むという浜野くんに、もしこれからプレーできる機会があったら野球とラグビーのどちらを選ぶのかを聞くと、晴れやかに、迷いない返事が返ってきた。

「もしラグビーが出来る機会があればやりたいです。練習きついと思うときもあったけれど、仲間がいてくれたから耐えて来られました。これからも周りの仲間、専門学校だったり就職先の仲間がいれば、辛いことも耐えられるかなと思います」

 この言葉こそが、高体連の英断、そして2つの高校チームと彼らを取り巻く、朽木監督はじめ多くの関係者が下した決断の成果だと感じた。だが、何度も指摘するように、ここ数年、そしてこの先も長く日本ラグビーの深刻な病根になる恐れがあるのが、高校ラグビーの参加校数であり部員数だ。後編では、選手、高校チームの登録数などのデータも紹介しながら、協会、高体連ラグビー専門部など関係者が現状をどう認識し、どのようなビジョンを持っているのかを聞く。

(後編へ続く)

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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