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開業1年目「SAGAアリーナ」で生み出す熱狂 リーグ4位の集客力も…B1佐賀が危機感抱く理由

佐賀バルーナーズの田畠寿太郎社長。2021年から取締役としてクラブに関わっている【写真:荒大】
佐賀バルーナーズの田畠寿太郎社長。2021年から取締役としてクラブに関わっている【写真:荒大】

現状では「新しいアリーナを見たい」というボーナスがある

 バルーナーズは12月の戦いを終えた時点で、ホームゲーム15試合の平均入場者数が5000人を上回り、B1全体で4番目の集客力を誇る。このままのペースで行けば、2026年開始予定のB.LEAGUE PREMIER参入目標の一つである「平均入場者数4000人以上」というハードルもクリアできるはずだ。ただ、田畠社長は決して危機感を消そうとはしない。

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「今、しんどいな、という部分はあります。B2プレーオフのファイナルでは7000人以上が集まりましたが、僕らでも驚くような数字が出たとも感じます。この15試合の中で、いろいろな施策を合わせ技で出して、やっと5000人の方に来てもらえる試合もありますし、頑張っても3000人ほどしか来ていただけなかったという試合もあります。現状では『新しいアリーナを見てみたい』というボーナスの部分もあるはずです」

 就任3年目を迎えた田畠社長は、自らもアウェー遠征に帯同し、時には対戦クラブのエッセンスも持ち帰ってくる。「船橋アリーナにも行きましたけど、(千葉)ジェッツさんが作り出す世界観が羨ましいですよね」と、素直に相手クラブの良さを引き合いに出す一方で、ハード面の難しさも含めて感じ取る機会ともしていた。その中で、田畠社長はB1で生き残るための「ツボ」も学びつつあった。

「B1の中でも中団につけるクラブは『総合力』が大事だと思っています。会場の雰囲気やフロントスタッフのモチベーションであったり、もちろん、選手やコーチのモチベーションも大事です。心とやる気の部分が充実して、重ならないといけないのではないかと感じます。単に予算を投じて強化を目指すよりも、チームとフロントとの風通しを良くすることを大事にしている部分もありますね」

 こちらも就任3季目を迎えた宮永雄太ヘッドコーチ兼ゼネラルマネージャーとの連携も積極的に取る一方で、イベントなどへ選手を参加・出演させることも契約に盛り込むことで、選手にしっかりと「クラブの顔」になることの意識を植えつけていく。もちろん、田畠社長の要望でもあるのだが、「宮永さん自身がバスケットボールが世の中に認知されない中で、苦労をしながら選手として戦ってきた1人だからでは」と、指揮官の理解度の高さがあってこそだと分析する。かつてのバルーナーズはコート内外の連携が進まない時期があったとも語っており、こうした部分にもクラブの進化した姿が垣間見える。

 そうしたなかで、12月29日に行われたアルバルク東京との一戦は、主力である角田太輝の出身校である佐賀北高校とのコラボデーとするなど、クラブとして地元・佐賀県との融合を形にしようという施策も見られた。田畠社長によれば、こうした施策にもクラブのビジョンに沿った流れが根底にあるという。

「僕らは『佐賀バルーナーズを日常にする』ことを掲げています。地域を見れば少子化や空洞化が進む中で、楽しい、温かい、そういったクラブを作っていこうと思いますし、クラブの存在意義として、地域経済の課題に寄り添わなくてはいけません。ただアリーナが満席になれば良いのではなく、試合の後に街に良い影響を残せるか、試合の前と後に街にお金を落とさせる。そこまで考えていこうと、フロントスタッフにも伝えています」

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