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最初は困惑した日本人の温かさ WBCで話題の“お菓子記者”が味より記憶に残る文化共有と親切心

お菓子の味より記憶に残る「日本人の温かさ」

 反響は日本だけに留まらなかった。WBC東京ラウンドから帰国後、オフィスに戻ると同僚たちから「さあ、お菓子で有名な男のお出ましだ」と茶化されたという。「みんな僕がお菓子であれだけ注目を集めていたことを面白がっていたんだ」。日本から持ち帰ったお菓子を配ると、一気にオフィスは活気づいた。

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 それまであまり面識がなかった同僚も「日本のスナックがあると聞いたんだけど……」とクレア記者のデスクを訪れた。「もちろんさ! 試してみる?」。日本のお菓子をシェアし、新たなコミュニケーションが生まれた。「みんなとても気に入っていた。みんな新しいことに挑戦するのが大好きで、ハマっていたんだ」。職場で“日本菓子ブーム”の火付け役になった。

 心奪われた日本のお菓子を、今も日系スーパーに立ち寄って定期的に購入している。「名前をド忘れしちゃったけど、小さなライスクラッカー(おせんべい)」が最近のお気に入り。中には「僕にはスパイシー過ぎた」という生姜チップスなど口に合わなかったものもあるが、日本文化に積極的に手を伸ばしている。

 日本での滞在期間は「振り返ってみると、夢のようだったね。現実とは思えない、あまりに素敵な時間だった」と回顧。食べ物の思い出も忘れられないが、一番印象に残っているのは、それを紹介してくれた人たちだ。

「食べ物も覚えているけど、何よりも記憶に残っているのは、誰と一緒に食べたか、その時何をしていたかだね」

 日本の食や文化を楽しんでもらいたい――。そんな思いで差し入れしたり、居酒屋に連れて行ってくれたりした人たち。9か月経った今でも、親切にしてくれた日本人への感謝の気持ちは忘れない。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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