「間違ってレモンサワーを頼んだのもあの日だ」 WBCから9か月、米記者が今も驚く日本の野球文化
東京ドームでの意外な思い出「国歌が演奏された後に…」
「オオタニが自分の看板近くに当てた豪州戦でのホームラン。さらに素晴らしかったのは、そこのファンが格別だったこと。ボールをキャッチした女性が、みんなが触れられるようにと周囲の人にボールを回していたんだ。私はその女性に取材もしたんだけど、アメリカだったら取り合いになるだろうし、誰かが盗んでしまうと思う。でも、そこではみんながボールを見られるように、写真を撮影できるようにしていた。信じられないよ。
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オンジェイ・サトリア(チェコ)がオオタニから三振を奪った瞬間も際立っていたね。その後のやり取りも良かった。ロウキ・ササキ(佐々木朗希・ロッテ)がウィリー・エスカラ(チェコ)に死球を当てた後も同様だった。あとは豪州代表のティム・ケネリーの娘さんが『レッツゴー・ダディ!』と叫んだときに、日本のファンが一緒に応援していたことも覚えているね。とっても印象に残っているよ」
各国の戦いぶりはもちろん、選手同士の敬意に満ちた交流や、ファンの分け隔てのない声援がWBCを特別なものにしたと同記者は強調する。「野球のフィールド上で起こったことだけど、肝心なのはみんながどんな反応を見せたか。例えば、日本代表がチェコ代表に見せたリスペクト。オオタニが彼らの帽子を被ったり、サインを書いてあげたりね。そして、ビジターチームにも送られた声援。素敵だったね」。懐かしそうに目を細めた。
もう1つ、東京ドームには忘れられない意外な思い出があった。「毎日、毎試合、両チームの国歌が演奏された後に、シャキーラの曲がドームの中で流れていたんだ。いつも同じ曲でね。だから私の頭の中では、国歌を聞いたら『あれ? シャキーラの曲はいつ始まるの?』という感じになってしまったよ」。WBC期間中に日本の応援歌、特に村上宗隆内野手(ヤクルト)の応援歌にハマったクレア記者だったが、他にも耳にこびりついて離れない曲があったようだ。
来日中には自身のツイッター(現X)で次々に日本のお菓子や文化を発信し、大きな話題になった。帰国後のオフィスでは同僚から「さあ、お菓子で有名な男のお出ましだ」と茶化されたという。後編では、そんなクレア記者に日本のお菓子や食に対する愛を語ってもらった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)