アマチュアボクシング・岡澤セオン＆原田周大インタビュー第5回

　アマチュアボクシングの2024年パリ五輪男子フェザー級代表・原田周大（専大4年）が、「THE ANSWER」のインタビューに応じた。今年10月のアジア大会で銀メダルを獲得した22歳。初の五輪出場切符を手にした。

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　ライトミドル級で同じく代表に内定した2021年世界選手権男子ウェルター級王者・岡澤セオン（INSPA）を含めて全6回でお送りする。第5回は、今年の世界選手権で1回戦負けを喫した原田がアマボクシングの聖地で感銘を受けたこと。（文＝THE ANSWER編集部・浜田 洋平）

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　世界を舞台にしても、原田は殴られまくった。今年5月の世界選手権1回戦で格下のヨルダン選手と対戦。「強くもないし、弱くもないけど、ここで勝たないとオリンピックなんて夢の話」。初回にいきなりダウンを奪われる敗戦。「どうしていいかわからないくらい心が折れてしまった」。五輪出場権の懸かった10月のアジア大会前に実力を試せる絶好の機会。自信は破壊された。

　日本代表の先輩たちに慰められたが、トイレにこもり、一人で泣いた。

　高校1年のインターハイ県予選は1回戦負け。負けては這い上がることを繰り返し、初めて世界選手権までたどり着いた。「いつもボッコボコにされたところから始まる人生」と語る非エリートにまたも訪れた敗戦。再起のきっかけは岡澤に誘われて参加した海外合宿だった。

　アマボクシングの“聖地”と呼ばれるウズベキスタンのヤンギャバードへ。娯楽の少ない山奥で目をギラつかせる中央アジアのボクサーたちに驚かされた。練習負荷の強弱はあっても、毎日練習するのは当たり前。フィジカルトレーニングも週1回だった原田に対し、2日に1回と地味なものにも抜かりなかった。

「感動するくらい凄いなと思ってしまったし、考えを改めさせられた。小さい子が街中を走っていたり、ボクシングを楽しそうにしていたり。こんなに楽しそうに毎日頑張るんだって。ただの義務感で週1回やっている僕とは全然違う。ボクシングに対する姿勢を見せつけられて、僕は変わりました」

　日本にいた自分は甘い。これまでパンチの実践練習ばかりやっていたが、体の土台作りに立ち返った。「あまりフィジカルトレーニングの必要性を理解できていなかった。最低限やっていればいいだろうと」。だが、基礎練習は地味なうえ苦しい。そんなものでさえも楽しそうにやるウズベキスタンボクサー。岡澤も練習中に「勝とうぜ、勝とうぜ」と鼓舞してくれる。原田は歯を食いしばって応えた。