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「五輪なくなって可能性広がるかも」 28年ロス五輪まさかの除外も“ブレイキンの顔”が前向きなワケ

来年のパリ五輪で注目される新競技、ブレイキンが28年ロサンゼルス五輪の実施競技から外れた。同大会組織委員会は9日に野球・ソフトボールなど5競技を提案。追加競技の候補だったブレイキンは入らなかった。杭州アジア大会で優勝し、パリ五輪代表に内定したShigekix(半井重幸、21)は、意外なほど前向きに「可能性が広がるかも」と話した。(取材・文=荻島 弘一)

アーバンスポーツTOKYO 2023に来場した(左から)日本アーバンスポーツ支援協議会理事で競泳金メダリストの北島康介さん、ブレイキンのShigekix、スポーツクライミング銅メダリストの野口啓代さん【写真:荻島弘一】
アーバンスポーツTOKYO 2023に来場した(左から)日本アーバンスポーツ支援協議会理事で競泳金メダリストの北島康介さん、ブレイキンのShigekix、スポーツクライミング銅メダリストの野口啓代さん【写真:荻島弘一】

パリ五輪に内定しているShigekixは前向き

 来年のパリ五輪で注目される新競技、ブレイキンが28年ロサンゼルス五輪の実施競技から外れた。同大会組織委員会は9日に野球・ソフトボールなど5競技を提案。追加競技の候補だったブレイキンは入らなかった。杭州アジア大会で優勝し、パリ五輪代表に内定したShigekix(半井重幸、21)は、意外なほど前向きに「可能性が広がるかも」と話した。(取材・文=荻島 弘一)

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「ロスはなくなりましたね。でも、いいんじゃないですか。五輪がなくなることで、ブレイキンの可能性が広がるかもしれない」。14日、東京・港区芝の増上寺で行われたアーバンスポーツの体験会「アーバンスポーツTOKYO 2023」に来場したShigekixは、笑顔さえ見せた。

 7日のアジア大会決勝を制し、アジア代表としてパリ五輪出場を決め「ここまでの道のりが報われた」と話した。閉会式の日本選手団旗手を務め、10日に帰国。ロス五輪での「除外」を知った。ブレイキンの発祥の地ニューヨークのある米国でのまさかの落選だが「まあ、うわさはあったので」と平然と言ってのけた。

「五輪のおかげで、多くの人にブレイキンを知ってもらえた」と喜ぶ。五輪の巨大な力は感じながらも「ブレイキンには、カルチャーとスポーツの両面がある。その両方でまだまだ広がっていけると思う」とも。「五輪におさまらないことで、いい面もある」と前向きだ。

 姉AYANE(彩弥)の影響で、7歳で始めたブレイクダンス。即興で初めて聞く音楽に合わせ、同じダンスは2度とできない。難しい動きを求めるだけでなく、曲や観客との一体感、オリジナリティーが重視される。そういうブレイキンの魅力にはまり、世界を舞台に活躍してきた。

 五輪を意識していたわけではないが、16歳の時にユース五輪で銅メダル獲得して新たな目標ができた。19年2月にパリ五輪組織委が追加種目として提案すると、学校の授業後に大阪から駆け付けて東京で日本ダンススポーツ連盟の緊急会見に出席。「パリで金メダルを」と宣言した。

 その後は「五輪新競技の顔」としてシーンを支えてきた。積極的にイベントに出席し、メディアに出て、その凄技を見せ、魅力を伝えてきた。かつては「やんちゃな遊び」と見られていたブレイキンのイメージを、その明るくまじめな性格で変えてきた。だからこそ、パリ五輪代表内定で「報われた」と話したのだ。

 パリ五輪での目標は金メダル獲得。16歳から五輪ブレイキンを引っ張ってきた日本のエースにとっては、集大成でもある。ただ、金メダルがゴールではない。ブレイキンとともに、Shigekixにも大きな可能性が広がっている。まだ21歳。ロス五輪からの除外で「連覇がなくなるね」と聞くと「あっ、そうですね」と言いながら「でも、それだけじゃないんで」と笑った。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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