敗北は「プロセスの全否定」じゃない ラグビー日本代表が未来に託した「目標はW杯優勝」の遺産
姫野和樹「W杯優勝の目標はこれからも受け継がれる」
15、19年大会で主将を務めた35歳のリーチ・マイケルは、22歳だった2011年から4大会連続出場。15年間日の丸を背負い、この日が84試合目だった。「アルゼンチンは日本を舐めていない。ベストメンバーで勝とうとしてくる相手だった。イングランドもそう。2015年はリスペクトがゼロ。日本ラグビーが強豪だとリスペクトされている」。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)と歩んだ7年間に誇りを持つ。
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「弱い時代から強くなってきた。ジェイミーは選手としても、日本代表のコーチになってからも、これまで日本ラグビー界に来た外国選手、コーチの中でNo.1のレガシーを残したと思う。19年と23年大会を感じた選手が次の世代にたくさんいる。その人たちが今大会で感じたことをどう繋げていくか」
新HC選びやテストマッチ数など課題は山積みだが、「優勝」なんて口にもできなかった時代から、本気で目指す位置まで来た日本ラグビー。誰かが口に出さないとスタートすらしない。傷だらけの姫野は、その重みを理解していた。
「たくさんの犠牲を払ってここまで来た。選手も、スタッフもそう。結果は残念ですけど、みんなを誇りに思う。歩んできたプロセスは決して無駄じゃない。ここまでやってきたレガシー、文化、エベレストを登るという『W杯優勝』の目標はこれからも受け継がれる。選手は最高の努力をしてくれた。だからこそ、胸を張って帰ろうと伝えました」
試合後、リーチは「結果が全て」と言った。だが、結果はプロセスを全否定するものではない。歴史はこうやって繋がれていく。未来の日本代表が世界一になった時、この4年間も長い日本ラグビー史の一部になる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)