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POで初優勝逃した女子ゴルフ20歳の涙 桑木志帆、4歳から二人三脚の父との想い「今に見とれ」

女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス(6605ヤード、パー72)は19歳の櫻井心那(ニトリ)がツアー初優勝を飾って終えた。2日の最終日。櫻井とのプレーオフ(PO)で敗れた20歳の桑木志帆(岡山御津CC)は、勝者をハグで祝福した後に号泣した。首位でスタートし、正規18ホールでは5バーディー、2ボギーで69。通算10アンダーまで伸ばしたが、POではバーディーが奪えず、レギュラーツアー初優勝は逃した。グリーン脇に導かれていた父・正利さんは、泣きじゃくる愛娘を見ながら「これでまた強くなると思います」と前を向いた。(取材・文=柳田通斉)

資生堂レディスに出場した桑木志帆【写真:Getty Images】
資生堂レディスに出場した桑木志帆【写真:Getty Images】

資生堂レディス最終日でプレーオフ惜敗、泣きじゃくる愛娘と戦った父・正利さん

 女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス(6605ヤード、パー72)は19歳の櫻井心那(ニトリ)がツアー初優勝を飾って終えた。2日の最終日。櫻井とのプレーオフ(PO)で敗れた20歳の桑木志帆(岡山御津CC)は、勝者をハグで祝福した後に号泣した。首位でスタートし、正規18ホールでは5バーディー、2ボギーで69。通算10アンダーまで伸ばしたが、POではバーディーが奪えず、レギュラーツアー初優勝は逃した。グリーン脇に導かれていた父・正利さんは、泣きじゃくる愛娘を見ながら「これでまた強くなると思います」と前を向いた。(取材・文=柳田通斉)

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 桑木はグリーンを離れると、右腕を両目にあてた。あふれる涙。ギャラリーはその姿に気付き、激励と感謝の大きな拍手を送った。桑木も泣きながら驚いていた。

「聞こえていました。すごくうれしかったですし、心が温まりました」

 少し離れた練習グリーンでは岩井明愛、千怜の双子姉妹、クラブハウス前では内田ことこが、航空機の便を遅らせて桑木を待っていた。2002年度生まれで、プロテスト合格も同期(2021年6月)のライバルたち。それぞれに抱きしめられ、桑木はまた涙した。

 正利さんは、静かにその姿を見つめていた。

「簡単には勝たせてくれませんね。でも、最近は周りの方も『勝てる可能性を感じる』と言ってくれていました。これで、志帆はまた強くなれると思います」

 正利さんは、桑木の“可能性”を最初に信じた人だ。4歳の時、正利さんに練習場に連れて来られた桑木は、すぐにゴルフに興味を持った。練習に夢中になり、小学生になった段階で「プロを目指す」と宣言。その時点で娘のセンスを感じ、正利さんは「なれる。全力でサポートする」と決意した。仕事は障害者施設の職員。決して裕福ではなかったが、やりくりをして練習、ラウンド代、遠征費をねん出した。

「妻にも『プロなんて、そんな夢みたいなことを』と言われましたが、私は『今に見とれ』という思いでいました。娘も一生懸命で、学校から帰って練習に行くのが日課でした。スイングは大好きな宮里藍さんを参考にしました。そのうちに試合で優勝するようになり、妻も本気になって応援し始めました」

 運動能力に優れる桑木は、本格的にゴルフの指導を受けたことはなく、今もコーチはいない。それでも、地元・岡山で4学年上の渋野日向子らの背中を追い、プロテストに一発合格を果たした。ルーキーシーズンとなった昨季はメルセデス・ランキング(MR)51位。今季前半戦の出場が可能な準シード権を獲得した。オフにはドローの幅を狭くするために、スイングデータを分析。スイング改造に取り組むと、1週間でフェード打ちの感覚をつかんだという。

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