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高校3年間の部活を「楽しかった」と振り返れるか 知日家ドイツ人が伝えたい勝利より大切なこと

「サッカーの楽しさを知ってもらう」のも大切な結果

「環境が素晴らしいし、通信制なのでトレーニングをするタイミングも自由に選べる。それに少人数でチームを作り、そのチームごとにトレーニングを積んでいる。20人程度の選手たちが120分間フルピッチを使用している。これなら良い選手を見逃すこともありません。私はドイツのアカデミーのように、こういう体制なら良い仕事をする自信がある。でも100人を超えるような選手たちが在籍するチームでは、全員と向き合い才能を見つけていくのは、そう簡単ではないとは思います」

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 かつてエンゲルスは語っていた。

「トレーニングをして試合に勝つのも結果だけど、サッカーの楽しさを知ってもらうというのも大切な結果だと思うよ」

 エンゲルスが相生学院というチームに、直截どんな結果をもたらすかは分からない。しかし選手たちにサッカーの楽しさを伝えていくことだけは確信できそうである。そしてそれがまた普及と発展を促していくことも、ほぼ間違いなさそうな気がする。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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ゲルト・エンゲルス

元Jリーグ監督 
1957年4月26日生まれ。ドイツ出身。現役時代はボルシアMGに所属。引退後はケルン体育大学に進み、育成年代の指導も行った。1990年に初来日するとさまざまな縁で翌91年から滝川第二高校サッカー部のコーチに就任。93年から横浜フリューゲルスのコーチを務めると、クラブが消滅した98年には最後の監督となり天皇杯優勝に導いた。その後はジェフユナイテッド市原(現・千葉)監督を経て、2000年から京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)に移り、02年には監督として再び天皇杯優勝を達成。04年から08年まで浦和レッズでヘッドコーチ、監督を歴任した。11年からモザンビーク代表監督、20年にはINAC神戸レオネッサ監督を務め、現在は相生学院高校サッカー部を指導している。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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