史上No.1の日本一決定戦で3位躍進 スタート直前、24歳田中佑美は微笑んだ「結果は考えず…」
先輩たちと称え合った健闘、次なる大舞台へ「ひょうひょうと生き抜きたい」
4月の織田記念国際は日本人4人目の12秒台となる12秒97で優勝。5月も木南記念で12秒91(2位)、セイコーゴールデングランプリ(GGP)で12秒89(2位)と立て続けに自己ベストを塗り替えた。右膝痛を抱えた時は思い切って休養。「計画を組んで、それをこなしたことが精神的な安定にも繋がる」。メンタルコントロールの上手さも光る。スタート直前の微笑みもそれだ。
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「スタート前は力んでしまうので、ルーティン的なものとして、楽しもうと思いながら微笑むようにしています。競技結果は考えないように。スタートだけにフォーカスして、(ピストル音が)聞こえたら出るだけ。自分の仕事、タスクを減らして、減らして、負担を減らして出場しました。
メンタルコントロールはやっぱり重要。思わずレースを具体的に想像してしまうと、全身が心臓みたいに『バンバン、バンバン』って鳴って寝れなくなりそうなので、あえて違うことを考えたり、自分の感情をコントロールして、ただ3本(予選、準決勝、決勝)を走れるように。かなり意図的にやっていました」
レース直後は先輩たちと健闘を称え合った。「30代中盤まで最前線でいてくださる。清山さんもその年代でベストを出されているので励みになります。お姉様方もまだまだ元気ですし、年下も伸びてきている子たちがいる。これからも続々強くなっていくと思います」。近年の女子100メートル障害の盛り上がりを支える一人。代表入りできれば、次の舞台は世界だ。
「やっぱり日本選手権は特別な舞台。みんなが目指してきている舞台、世界が決まる舞台であの勝負をしてミスしなかったのはいい経験になったと思います。世界陸上では今以上にハイレベルな戦いが予想される。やることは変わらず、どこに誰がいようが自分のレースをすることが大事だと思っています。
私は今シーズン急激に記録が上がってきた。(世界陸上は)もちろん目標にはしていたけど、正直具体的な想像がつくほど近いわけではなかったです。今も具体的な話はできないですが、実際に世界選手権を戦われた方々とこうやって国内で戦えているので、それを自信にして、やることは変わらないと思って挑めるように頑張りたい。何も背負い込まず自分のタスクをできるだけ減らして、ひょうひょうと生き抜きたいですね」
激戦を駆け抜けた経験は成長の糧。自信を胸に次の壁も越えていく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)