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「戸惑う暇があるなら世界を目指せ」 田中希実が自分に喝、ぶっちぎりV4の要因は「心の安定」

8月のブダペスト世界陸上などの代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第2日が2日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子1500メートル決勝では、3連覇中の23歳・田中希実(New Balance)が4分8秒29で優勝。この種目では14年ぶりの4連覇を達成した。世陸行きは決められなかったが、「心の安定」を手にぶっちぎり。「戸惑う暇があるなら世界を目指すべき」と前向きに臨んでいた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

スタート前に真剣な眼差しでトラックを見つめる田中希実【写真:奥井隆史】
スタート前に真剣な眼差しでトラックを見つめる田中希実【写真:奥井隆史】

陸上・日本選手権

 8月のブダペスト世界陸上などの代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第2日が2日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子1500メートル決勝では、3連覇中の23歳・田中希実(New Balance)が4分8秒29で優勝。この種目では14年ぶりの4連覇を達成した。世陸行きは決められなかったが、「心の安定」を手にぶっちぎり。「戸惑う暇があるなら世界を目指すべき」と前向きに臨んでいた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 鋭い視線の先には、海外の猛者たちが映っていた。雨が降りしきるこの日の大トリ競技。田中の登場に客席から拍手が注がれた。レース序盤は薮下明音が仕掛ける。一人で飛び出し、田中は2番手として集団を引っ張った。「前を見て落ち着いて走れた」。600メートルで薮下を捉えると、800メートルから突き放した。

 早くも独り旅。しかし、余裕を見せることなくグングンと上げていく。残り400メートルでさらにギアチェンジ。他を全く寄せ付けなかった。レース後はいつも通りトラックに一礼。「ありがとうございました!」。2度の叫び声は、30メートルほど離れた取材エリアにまで届いていた。

 過去に日本選手権の女子1500メートルで4連覇したのは、09年吉川美香(翌年に5連覇)のみ。

「世界に通用するロングスパートを披露したい気持ちもあった。普通に走れば絶対に勝てるという練習を積んできたけど、最後まで何が起こるわからない。会場の雰囲気を楽しみながらだった。2周目に差し掛かっても加速できてよかったです。私が出ないと誰も出ない。最初に出ても、後半に勝負を仕掛けても、自分のレースに集中するつもりだった。

 いつもの日本選手権みたいに勝てるかどうかではなく、自分の可能性にチャレンジしたり、今までの練習の成果をしっかり発揮したいというワクワク感の方が強かった。今までは『本当に自分が世界を目指していいのか』という部分もあり、足踏みしてしまっていた。そこで戸惑っている暇があったら届かなくても(世界を)目指すべき。そういう走りはできたと思う」

 自らに喝を入れた雨中の激走。収穫や手応えを語りつつ、やはり自分に厳しい。「ラストに勝負をかけるのが世界。世界のライバルを意識してきれていなかった。一人で妥協があって、絞り出せたかというとそうではない。世界のライバルに勝ち切ることをしたい。しんどいことに挑戦していきたい」と心に鞭を打った。

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