日本の子供の習い事への熱量は「欧州では考えられない」 モラス雅輝「1人40万で海外遠征も…」
週5日のチームトレーニングを削り「他競技をやらせている」
また日本の高体連では、成長スピードに関係なく全員に一律のトレーニングを課しているので、早く身体が大きくなった選手たちは負荷に耐えられず故障を繰り返す傾向がある。それに対しモラスがテクニカルダイレクターを務めるザンクト・ペルテンでは、育成年代の選手たちへの繊細な配慮が施されている。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「15~18歳は、なるべく同じような身体の選手たちを集めてプレーをさせるようにしています。また今までは週に5日間をチームトレーニングに充てていましたが、“そもそも5日間も必要なの?”という疑問が出て3日間に削りました。もう1日は、柔道やキックボクシングなど、他の競技をやらせるようにしています」
せっかく十分な競技人口を確保しながら、燃え尽きて途中で辞めてしまう選手が多い。
「でも問題点は見えているわけだから」改善できれば伸びしろになると、モラスは未来へ前向きな展望を描いている。
「まだ日本は、ボールがないところのレベルを一気に高められるポテンシャルがある。今までは俊敏性やテクニックを活かして組織的に、と考えられていたようですが、個人的にそれは違うと思うんです。むしろボールがない時の組織力を上げることが、国際レベルで結果を出すことに直結するし、そのほうがきっと日本人の勤勉性が活きる。そういう意味でも、カタール・ワールドカップは1つのヒントになったと思うんです」
Jリーグで2度の指導経験を持つモラスは、いつかまた日本に戻って仕事をする日を楽しみにしている。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)