世界のサッカーで日本の“常識”は通用しない 海外挑戦する選手が磨くべき国際感覚
「条件次第で乗り換える」ことに悪気はない
一方で、情誼が根っこにある口約束は(日本や韓国ではよくあることだが)、「男気」などと美談にもされがちだが、しばしば問題に発展する。事情次第でいつでも撤回できてしまい、あやふやだからだろう。
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「彼はクラブに残ると言ったのに裏切った」
今年1月、Kリーグ・蔚山現代のホン・ミョンボ監督は、ライバルクラブである全北現代へ移籍した日本人MF天野純を口汚く罵っている。賛否は出たが、そもそも契約に従って移籍した選手を、監督が非難する権利など一切ない。問題は、然るべき手順で契約を更新しなかったクラブである。そこで「心情」を持ち込んでややこしくしているだけで、儒教的モラルが強く介在しているのだ。
ブラジル人選手は、契約にない束縛など受け入れないだろう。彼らは自ら進んで「利を重んじて」行動する。単純明快。彼らはクラブに「残るよ」と伝えながら、条件次第で乗り換える。悪気はない。むしろ正義だ。
日本人は、そこまでは割り切れないのだろうが、まずは自身のモラルに向き合ってから、世界と対峙していく時代だ。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)