三浦、木原組に訪れた必然のハッピーエンド 咄嗟に構えた135mmレンズに写った幻想的光景
フィギュアスケートの世界選手権は、さいたまスーパーアリーナで熱戦を展開している。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載。今回は23日に行われたペアフリーの三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)。自己ベストの141.44点をマークし、合計点で今季世界最高222.16点で日本勢として同種目で初優勝を果たした。
フォトグラファー・矢口亨のフィギュア世界選手権フォトコラム
フィギュアスケートの世界選手権は、さいたまスーパーアリーナで熱戦を展開している。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載。今回は23日に行われたペアフリーの三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)。自己ベストの141.44点をマークし、合計点で今季世界最高222.16点で日本勢として同種目で初優勝を果たした。
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表彰式の冒頭、それぞれの方向のスタンドに向かって挨拶を終えると、木原が三浦の手を取り並んで1位の表彰台に向かった。暗転したリンク上で、スポットライトを浴びた2人の背中だけが輝いている。映画のラストシーンのような光景だと思った。雰囲気ごと写したくて、135mmのレンズを咄嗟に構えた。
フリーでは終盤のスロージャンプでミス。演技直後、気持ちの整理がつかない三浦に木原が「胸を張ろう。これだけみんなが称えてくれているから」と語りかけた。結果は分からないけど、2人は降り注ぐ拍手に顔を上げて応えた。目の前のやるべきことに集中する。練習でも生活でも彼らはきっと、そうしてきたのだろう。
その後のキスアンドクライで日本勢初の優勝の快挙が告げられた。表彰式の幻想的な光景は、やるべきことを積み重ねてきた2人に訪れた必然のハッピーエンドに思えた。
■矢口 亨 / Toru Yaguchi
フォトグラファー。山形県上山市生まれ。上智大を経て02年に報知新聞社入社。12年ロンドン五輪、21年東京五輪、22年北京五輪などを取材。フィギュアスケートの撮影は19年の世界選手権(埼玉)から。今年2月に退社し、フリーに転身。著書に写真集「羽生結弦2019-2020」「羽生結弦2021-2022」など。
(矢口 亨 / Toru Yaguchi)