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ラグビーW杯日本代表入りの争いは? リーグ序盤戦で見えたポジション別“最新勢力図”

バックローで存在感を発揮するリーチと山本凱

 LO(ロック)では身長202センチのワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)が、リーグ開幕から力強さを増している。ルーキーイヤーだった2021年は、リーグワンデビューより前に代表入り。期待の新星とメディアからもスポットライトを当てられたが、実際にはLOコンビを組むジェイコブ・ピアスに、ボールキャリー、攻守の判断などで助けられる場面も少なくなかった。だが今季のパフォーマンスを見ると、前に出るパワーやワークレートで“独り歩き”できるまでに成長。1月22日のトヨタヴェルブリッツ戦では、リーグ屈指のパワーを誇る相手のNO8(ナンバーエイト)フェツアニ・ラウタイミとのコンタクトで、何度も1歩、2歩と前に出る力強さを披露。後半開始直後には自陣ゴール前に攻め込んできたトヨタFWを、長いリーチとパワーで抱え込んで攻撃権を奪うなど、泥臭い下働きでも成長を見せる。

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 バックローと呼ばれるFW第3列の代表勢のなかで、リーグで際立った動きを見せ続けているのは、ディアンズと同じBL東京のリーチ・マイケルだ。昨秋の代表戦でも非テストマッチのオーストラリアA代表との3連戦から6試合中5試合で先発して、うち4試合でフルタイムプレーを続けると、リーグワンでも好調を継続。フィジー人の母親から受け継いだスピードと運動量を生かしたアタックタイプのバックローとして日本の中心選手に成長したが、昨季の日本代表、そして今季リーグワンでは、経験値に裏打ちされた危機察知能力を生かした防御での貢献が光る。王者・埼玉WKに挑んだ開幕戦から7節まで全試合でNO8として先発し、1試合平均73分というプレータイムを残す。

 すでに34歳だが、好調の背景にあるのはパンデミック期間に受けた古傷の股関節の手術だ。リーチは「おかげで痛みを気にしないで体作りができたのが、コンディションの良さに繋がっている」と語っているが、一時は体重をかけられないほどの痛みがなくなったことで、体作り、走り込みとベースとなるコンディションを上げている。日本代表では姫野和樹(トヨタV)、テビタ・タタフ(東京SG)をNO8で起用することが多く、FL(フランカー)での出場が多いリーチだが、「(自分が好きな)NO8でプレーできているのもいい」とチームでのNO8起用も追い風になる。秋のW杯へ向けて、代表でリーチがどのポジションで起用されるかも注目だ。

 バックローでは、ノンキャップながらリーグ戦で存在感を発揮し続ける若手もいる。開幕から東京SGの背番号7を背負うFL山本凱だ。慶應高校時代からハードタックラー、ブレークダウンのスペシャリストと注目されてきたが、世界のトップ選手が居並ぶリーグでも7番が対戦相手に真っ先に刺さり続けるシーンを毎試合何度も見ることができる。直近の2月5日に行われたBL東京戦でも、キックオフから猛然と仕掛けたリーチのカウンターアタックをタックルで止めてみせた。当のリーチも「厄介(な選手)ですね。彼をずっと分析してきて、ボール持ったらステップを切って抜けると思っていたらやられました。キックチェイスで、ハイボールを捕った選手にぱっと(タックルに)入って一気に流れを変えられる選手。そういうスキルを俺も学びたい」と称賛する。

 177センチ、100キロのサイズは、へビー級の殴り合いのようなテストマッチに選ばれる足枷になるかもしれない。これまでも松橋周平(リコーブラックラムズ東京)、布巻峻介(埼玉WK)という和製FLが、あと1歩でW杯を逃している。前回のベスト8超えのためには、イングランド、アルゼンチンの190、200センチ級の相手に対抗するために大型選手を揃えたいなかで、代表首脳陣にどこまでアピールできるか。俊敏さとワークレートで、外国出身の大型選手と快足BK(バックス)を繋いで、日本代表の武器でもあるアタックをテンポアップさせるリンクプレーヤーとして期待したい。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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