メッシから育成年代の選手が学ぶべきこと 世界一に到達させた技術以外の“本当の凄さ”
「走り過ぎない」裏にある精神的な強さ
「走り過ぎない」
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それも、彼なりのコンディショニングと言えるだろう。トップレベルの選手は90分間で平均12~13キロを走るが、メッシは6~7キロ程度。それで試合を決められるプレーができるなら、お釣りがくる。
もっとも、恐ろしい重圧だろう。もし決定的なプレーができなかったら、「役立たず」の誹りを受けるのは必定だからだ。
「レオが偉大なところは、果てしなく驚かせてくれるところだね。何年も、ピッチで決定的な仕事ができる存在であり続けている。彼のそばでプレーができることに、誰もが光栄に感じるだろう」
かつてバルサでチームメイトだったアンドレス・イニエスタ(現在はヴィッセル神戸でプレー)はそう語っていた。
その一方、対峙してきた選手の証言は、どこか恐怖が滲んでいる。
「メッシは山猫、豹、猛禽類……様々な猛獣の能力を併せ持ったような選手だった。人間が素手で対等に戦うのは難しく、反則で止めるしかない。1980年代までだったら、危険なタックルの標的になっていただろうね。あのマラドーナも、バルサ時代は足をへし折られているから」
オサスナでプロ選手として20シーズンを過ごしたフランシスコ・プニャルに、ピッチで敵として対決したメッシについて聞いた時、そう洩らしていた。過去に対戦したどの敵よりも強く、人間ではない存在に映ったという。想像を超えていたのだ。
メッシのようになれるか? その問いは、「そこまでサッカーが好きか?」にも置き換えられる。自分と向き合うことから、すべては始まる。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)