伊藤美誠、最強中国に「たった2cmの差」を痛感 対峙したからわかる変幻自在の達人技
スコアほどの差はない「私は凄く相手を見ることができていた」
強打や派手なプレーの中に隠れた変幻自在の技。あくまで伊藤の感覚的なものだが、「ボール半個かボール1個分の差」で軌道を変えてこられたという。1個は直径40ミリ。半個分ならたった2センチ分の高さを絶妙に上下させながら、返球困難な攻撃を高速ラリーの中で仕掛けられた。しかも、重圧のかかる場面で。女王との差だった。
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しかし、伊藤にとっては収穫だった。これまではこの微細な差まで感じられることが少なかった。「今日、私は凄く相手を見ることができていたので、自分の目で違いがわかった。距離、高さが見えていた。自分の動きも最高に良かった」。あとはその技術にどう対応するか、逆にその達人技を自分が繰り出せるようになる必要がある。
マッチカウント0-3、ゲームカウント1-3の敗戦でも、スコアほどの歴然とした差はない。乗り越えられないとは思わなかった。さらなる成長の糸口を見つけ、嬉しそうに声を弾ませた。
「(大会を通じて)最後の試合が一番楽しかったです。予選まで難しい試合が続いたけど、少しずつ良くなることを目標にして良くなってきた。最後の決勝が超良かったし、楽しかったです。自分が良くなったと凄く感じられた。次がもっともっと楽しみになりました。これを生かしてさらに成長して次も戦いたいです」
まだ21歳。少しずつ、でも着実に。世界の頂きへよじ登っていく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)