張本智和、忘れられない日韓戦の敗北 メダルを逃して4年、真のエースになれるのか【世界卓球】
環境を変えて気づいた原点「大事なのは練習場、食事、トレーニングだけではない」
4月、世界の強豪が集まるヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)への参戦を発表した。決断の裏には“原点”があった。
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「良い環境というのは良い練習場、良い食事、良いトレーニングのことだと思っていたんですけど、それだけでは良い環境ではないということに気づきました。今は練習相手を探すのが難しいですけど、それでも楽しく卓球ができていることこそが、やっぱり良い環境だと思う。全て揃っているから良い環境ではなく、自分が楽しく卓球に打ち込めることが大事」
この気づきが復調のきっかけになった。春から早大人間科学部の通信教育課程に進学。海外遠征中も課題に追われることがあるが、7月末に今季国際大会初Vを果たした。
「環境を変えて今までと全く違う生活をしたのは、大きくプラスに働いていると思います。メンタルが整ったからこそ、良い練習ができたり、新しい技術を習得できたりする。一番は自分の気持ちが整ったことが大きいと思います。
リードしていても、されていても同じ気持ちで戦えているのが一番大きい。バックハンド、フォアハンドともにミスが減ってきた。全体的に安定感が増している。昔の一番強かった頃に近づいてきているんじゃないかなと思います」
数々の最年少記録を塗り替えてきた日本の至宝。早くから国際大会に出場し、勝ち、負け両方のパターンを多く経験した。逆転した、された時にどういうメンタルだったのか。都度、状況を思い出し、「ある程度セオリーがわかる。それが小さい頃から活躍してきたメリット」と一つずつ糧にした。
その経験が生かされるのが今大会。9連覇中の中国に次ぐ国は拮抗している。どの国が王者への挑戦権を得るのか。張本は自身の「完全復活」を見据えながら言った。
「全ての国が五分五分だと思うので、まず準々決勝までいかないといけない。(自分が)完全復活と言えるのは、やっぱり世界チャンピオンになった時か、大きな大会で優勝した時。今までの結果と同じくらいでは満足できないので、この世界卓球だったり、ワールドカップだったり、そういうところで優勝するのが今の目標です」
期待を背負うニッポン卓球界の若きエースは、2番手に甘んじるつもりはない。
◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)