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日本は「お茶当番」米国は「ごはん当番」 子どものスポーツが保護者に求める献身の背景

子どものスポーツ活動に親の献身を求める背景は何か

 今年、アメリカで「Take Back The Game」という本が出た。お金と過剰な熱中が子どものスポーツにどのような影響を与えているのかを著者の経験、取材、データによって浮き彫りにしている。著者のリンダ・フラナガンさんはスポーツする子どもを持つ保護者であり、運動部のコーチでもある。ここでも、アメリカのおやつやごはん当番の話が出てくる。「Take Back The Game」から著者の意見の書かれている箇所を要約して取り上げたい。

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 少なくともいくつかのスポーツや地域では、チームが試合の前夜に各家庭に集まり、おそらくは「気合を入れる」ために食事を共にすることは慣習となっている。食事代は主催する親が負担する。私は、息子が高校時代にラクロスの選手として在籍していた短い期間に、これを間近で見た。母親(いつも母親)がときには仕事を休んで、少年たちのためにラザニア4皿、サラダ、ロールパン、自家製クッキーを並べ、他の人たちは18人が食べられるような大量のテイクアウト・ディナーを注文した。このような食事にまつわる出来事は些細なことだと思うかもしれないが、ねじまがったユーススポーツ環境を反映している。それは、親がいかに子どもの活動に注ぎ込み、没頭しているかをあらわしている。スポーツがどれほど重要であるか、この試合やこのレースがいかに(我々にとって)重要であるかを明らかにしている。

 健康的な食生活のために食事や水分補給に配慮するのは当然ことであるだろう。プロスポーツやエリート選手ではパフォーマンス最大化のために栄養管理を怠ることはできない。しかし、フラナガンさんは、子どものスポーツ活動に食事面からも親の献身を求め、そして、親が積極的に尽力することは、子どものスポーツはもはや気楽なものではないことの表れであると指摘する。そして、子どもの試合はプロやトップアスリートの試合と同じように重要な真剣勝負であることを、暗に子どもたちにも伝えていることを示唆している。フラナガンさんの洞察に、日米子どものスポーツ活動に親の献身を求める背景、そして親もそれに応じようとする背景は何かを考えさせられた。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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