伊藤美誠、実は「どん底」だった五輪金メダル後 「パリ五輪優勝」と言えなかった日々【世界卓球】
打倒・中国の世界卓球へ、伊藤「寿命が縮まる覚悟で見てほしい(笑)」
春先に目標を決めた。「もう意地でも出場して優勝する」「そこまでの実力をつけたい」「卓球を楽しみたい」。少しずつ心は晴れ、練習も充実していった。今では五輪金メダリストの肩書きも「日本の卓球選手では私と水谷選手だけ。逆にずっと自信を持ち続けられるのは有利」とプラスに捉えられる。
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「この経験があったからって言えるようにしたいです。どん底に落ちた分、這い上がるしかない。(卓球を)20年くらいやっても、まだまだいろんな感情ってあるんだなって思いました」
9月4日の第2回パリ五輪代表選考会で優勝。コロナ禍で度重なる大会延期、東京五輪後の苦しみを経験し、何事もプラス思考を意識するようになった。これが成長だ。
紆余曲折を経て迎える世界卓球団体戦。同学年の22歳・早田ひな、20歳の長崎美柚、18歳の木原美悠、24歳の佐藤瞳とともに日の丸を背負う。大黒柱として期待される伊藤は「一言でいうと若い」とチームの印象を明かした。それぞれの戦型が異なり、バラエティーに富んだ布陣だ。
「(普通の選手が)いないですね。みんな爆発できる卓球ではあるので、誰に勝ってもおかしくない。自分が一番経験しているとは思いますけど、みんな実力があります。若い選手がいればいるほど、何が起きるかわからない。ハラハラドキドキすると思います。自分でも爆発する時って周りを考えていなくて、10代後半の方がバカバカいける。
自分が安定しているとはあまり思わないんですよ。だって、みんなに『寿命が縮まる』って言われます。でも、それが自分らしい。最終的に『やっぱ強いよね』と言ってくれるような選手になりたいです。自分の中で絶対に2点(2勝)を獲る。申し訳ないですけど、寿命が縮まる覚悟で、それを楽しみに見てほしいです(笑)」
中国の5連覇阻止へ。負けん気を取り戻した日本のエースが、溢れる自信を胸にコートに立つ。
(第2回は長崎美柚が登場)
◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)