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健康管理に“絶対的な答え”なし メッシの例に見るアスリートの食生活との向き合い方

選手に合うやり方はそれぞれ異なる

 例えば一時期、Jリーグのプロクラブでもファスティングが流行っていた。ファスティングは、いわゆる断食で、ダイエットなどにも活用されている。アスリートは食べる量も多く、それをエネルギーに変換しないといけないので、その生活を続けると、どうしても胃腸がへばる。そこでファスティングを取り入れ、胃腸に休みを与えて内臓全体を活性化させ、エネルギー効率を上げるやり方だ。

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 これに適応した選手はいた。一方で、食べないことによってパワーダウンし、プレーに支障をきたした選手もいたという。今や情報にあふれているし、様々なメソッドもある。しかし、すべてが体に合うわけではない。

 例えば遺伝子検査で、自分に合う食品、会わない食品を判定してもらうやり方がある。冗談のような話だが、それを元に食事をとることになったある選手が、「米以外は軒並み低い判定。乳製品は特にNG」で無視せざるを得なかったという。他の選手もアレルギー反応を参考にする程度で、「テレビの占いコーナー程度でしか、気にしていません」と打ち明けていた。

 トップアスリートは、意外に偏食が多かったりする。プロサッカー選手時代を通じ、野菜や果物にほとんど手を伸ばさなかった、という例もある。おそらく、自らの意思に反して食べても、血肉になりにくいのだろう。

 何が正しいか?

 それを決めるのは結局のところ、自分個人であり、親でも、コーチでも、栄養士でもないのだ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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