全米女子アマVの17歳馬場咲希 解説したトップコーチも驚く「日本人に少ない強み」とは
飛んで高さがあるショット、小技も巧み「隙がない」
――馬場選手は今年に入って急成長しています。
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「彼女のショットが飛ぶことは知っていましたが、(4月の)全米女子オープン日本予選会を通過したあたりから、すごさを感じてきました。本大会でも、3日目を終えて2オーバーだったことに驚かされました。強烈にグリーンが硬くて速く、日本ではあり得ないセッティングでしたので」
――飛距離だけでなく、小技にも自信を持っています。
「確かにうまさを感じます。今回もパターでも打てるエッジからのアプローチでウェッジを選択し、2度チップインを決めています。これはアプローチが得意だという証しです。そういう意味でも隙がないですね。苦手分野がないんじゃないでしょうか」
――この快挙も踏まえ、馬場選手がどんな選手になっていくとイメージされますか。
「来年は多くのメジャー大会に出場できますし、オーガスタ女子アマからの招待状が届くでしょうし、今後は国内ツアー出場の機会も増えると思います。その中で最も勝つ可能性を感じるのは、日本女子オープンです。厳しいセッティングになるほど、彼女の飛んで曲がらず、高さがあって硬いグリーンで止められるショット、小技の巧みさが効いてきますし、他の選手との質的な差が出やすくなります。(2016年に)アマチュアだった畑岡奈紗選手が日本女子オープンを制した時のように、馬場さんが優位に立つ可能性は大いにあります」
――馬場選手は「注目される程、力が出る」と話しています。メンタルの強さも感じますか。
「実際、今日の試合でもマッチが進んで注目を浴びれば浴びる程、パフォーマンスが上がっていました。途中、わずかなミスがあっても切り替えが早いことも印象的でした。そういう意味でも、プロ向きな選手です」
――馬場選手は将来、国内外でプロとして活躍する可能性を抱かせますが、今後、日本女子ゴルフ界はどう変化していくでしょうか。
「今回、馬場さんが世界一の女子アマになったことで、彼女を目標にする選手も出てくることでしょう。実際、日本のジュニアには馬場さんに対抗できる選手がいますし、世界女子アマランキング50位以内で大会出場資格がありながら、今回は出場を見合わせた選手が7人います。ただ、こうして馬場さんが勝ったことで、『来年は私もチャレンジしたい』となるのは自然なことです。そうすれば、彼女たちが上位に進出する可能性は多いにあります」
■井上透(いのうえ・とおる)
1973年4月3日、横浜市生まれ。法政二高野球部で甲子園出場を目指していたが、故障をきかっけに退部。その後、ゴルフを始め、法大2年修了後に渡米。21歳でプロゴルファーとなり、現地でゴルフ理論を学ぶ。97年からは国内初のプロコーチとして男子ツアーに帯同。佐藤信人、中嶋常幸プロ、加瀬秀樹、佐藤信人らをコーチングした。現在も成田美寿々、穴井詩、堀奈津佳、識西諭里らプロやアマ選手を指導している。11年には、早大大学院で「韓国におけるプロゴルファーの強化・育成に関する研究」の論文を発表し、最優秀論文賞を獲得。16年には、東大ゴルフ部の監督に就任した。データ分析の第一人者としても知られる。
(THE ANSWER編集部)