打倒・仙台育英に何が必要か 「10-82」の屈辱から1年、石巻工ラグビー部に訪れた再会
天野「コミュニケーションを取らずに生まれたミスはダメ」
ここからの練習ではFWとBKに分かれ、それぞれが3×3のタッチフットとスキル練習に臨んだ。BKは天野が指導を担当。スキル練習ではアタック4人がパスを回しながら、ディフェンス3人を抜くドリルを行った。いいプレーが出ると「ナイス、ナイス」と積極的に声掛けする天野に対し、パスが繋がってもミスしても部員たちは静か。天野はディフェンスに対して真っ直ぐ突っ込むのではなく、「ディフェンスの間のスペースに対して攻撃を仕掛ける。フェイントを入れたり、パスのタイミングをずらしたりしてスペースをコントロールすることが大事」とアドバイス。同時に「ラグビーに喋ってはいけないルールはない。コミュニケーションを取った上でのミスは仕方ないが、コミュニケーションを取らずに生まれたミスはダメ」とコミュニケーションの重要性を説いた。
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菊谷氏が担当したFWは、目標に掲げたスクラム時の膝の高さ「5センチ」にフォーカス。2人一組でボールに両手をついてスクラムの姿勢を取り、膝を床から5センチの高さで1分間キープするというもの。使ったボールはラグビーボール、メディシンボール、ハンドボールなど多種あれど最難関はバランスボール。何度も挑戦した主将の阿部くんは「2人の力のバランスが崩れるとキープしきれない。ボールを通じてわずかな揺れも伝わってくるので難しい」と苦笑いだった。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。2時間にわたる練習も終了の時間となった。夢応援マイスター2人による熱意溢れる指導を受けた部員たちは、汗だくになって疲れた様子ではあるものの、それぞれの顔に浮かぶのは充実感だ。主将の阿部くんは「掲げた目標を日々の練習に落とし込んで、1日1日頑張ります!」と力強く宣言。菊谷氏も天野も笑顔でその様子を見守った。
花園出場を懸けた県予選まで約3か月。石巻工業は目標の打倒・仙台育英を実現し、花園出場の切符を手にすることができるのか。それはここからの取り組みにかかっている。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)